病院はパンク…新型肺炎の感染急拡大、SARSと決定的に違うこと

勢いはとどまるところを知らない
ふるまい よしこ プロフィール

だが、12月末になってやっと武漢市の衛生当局がウイルス性肺炎の発生を認めるまでに、同月20日すぎからすでに同市の医療関係者が集まるSNSグループで「SARS患者が出た」という情報が流れ始めていた。この情報は次第に外部に流れ、メディア関係者も注目するようになった。さらに通知前日の30日夜に別の病院関係者のグループで、別の病院による「コロナウイルス肺炎」と書かれた診断書をアップロードした医師が、若い看護職員らに外出時の注意喚起を行っていたことがわかっている。

 

SNSの進化

2003年のSARS大流行時とは違う、もう一つの点はこうしたSNSの出現だ。今や名刺代わりになっているSNSアプリ内には、数え切れないほどの業界、職場、大学、サークル、友人間のグループが存在しており、外の人間はうかがい知ることができない情報が交わされている。「原因不明肺炎」について、武漢界隈の医者たちの間でも仲間内で情報交換が進められるうちに、危機感をもったグループメンバーの1人によって情報がキャプチャされ、外部へと流出する。

SNSやインターネット情報にはガセも多いことは誰もが知っている。だが、プロフェッショナルな知り合い同士が仲間内で交わす情報には信頼性が高い。そして、それを外に漏らす人も自分が信頼できる相手に流していく。こうして流れる口コミ情報は、情報統制が当たり前になっている中国人社会では確実に特別な意味を持って取り扱われるのである。

実は2003年に北京にいたわたしの周囲にも、政府がSARS感染者の存在を正式に認めるよりも1カ月も早く、感染情報をつかんで北京から「トンズラ」した友人がいた。インターネットでは香港で広がっていた感染がニュースとして流れていたものの、中国国内では政府が正式に認めていなかったので感染事例はほとんど伝わっていなかった。

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