〔PHOTO〕Gettyimages

病院はパンク…新型肺炎の感染急拡大、SARSと決定的に違うこと

勢いはとどまるところを知らない

「民族大移動」の最中

「すでに500万人が武漢を離れた」

武漢市の周先旺・市長は1月26日夜に開かれた湖北省の記者会見でこう語った。武漢肺炎の感染拡大を同市政府が公式に認めた同月21日より前に春節休日で離れた人、そして23日に武漢市の「封鎖」が決まって慌てて離れた人(直後の中国メディア報道では約30万人)を合わせた数である。その結果、市内には現在、900万人の市民が「閉じ込められ」た形となっている。

 

2003年のSARSと違う、今回の新型コロナウイルス拡散の特徴の一つがここにある。一つはもともと「民族大移動」と俗称される里帰りシーズンは、一般に最も早い学生たちが春節の1カ月ほど前から、そして工場や単純労働者たちは2週間ほど前から故郷に帰省し始める。つまり、民族移動は政府の感染拡大発表よりもずっと前に始まっていたことだ。もう一つは、17年前と比べてその「移動」にはかなりの割合で海外旅行が含まれるようになっていること。

加えてこの記者会見で明らかになったのは、武漢では2700件近い「疑似患者」(肺炎と疑われる症状が出て、検査を受けている状態の患者)が観察下に置かれており、そのうち45%が肺炎を罹患していると想定すれば、今後武漢だけで1000人を超える感染患者が出現するだろうということだった(編集部注・その後、1月29日現在、感染者は5947人に拡大)。

武漢の病院(1月27日)〔PHOTO〕Gettyimages

しかし、封鎖された現地に残って果敢な現場取材を続けている中国メディアは、市内の病院は完全にパンク状態で、医療物資や医療の支援チームも到着し始めてはいるものの、発熱や疑似症状を訴える人、加えて不安を訴える人たちすべてを診察することができていない状態だと伝えている。