2月 2日 ラムサール条約制定(1971年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1971年の今日、湿地に関する国際条約「ラムサール条約」が、イランの北部、カスピ海沿いの都市ラムサール(マーザンダラーン)で開催された国際会議で採択されました。

条約の概要

ラムサール条約の目的は3つ。湿地の「保全(および再生)」と「ワイズユース(賢明な利用)」、これらを促進する「交流、学習(CEPA)」です。

正式な名称は、「水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(Convention on Wetlands of International Importance Especially as Waterfowl Habitat)といいますが、一般的には開催地にちなんだ「ラムサール条約」と呼ばれています。発効したのは、1975年の12月25日でした。2018年現在、150ヵ国が加盟しています。

 

日本では、1980年6月に加盟申請し、同年10月に発効しています。

この条約制定の日をもって、条約事務局では「世界湿地の日」(World Wetlands Day  : WWD)と定めています。

【画像】
  環境省による「湿地の日」2020年のポスター。ラムサール条約関係の啓発をおこなう image by Ministry of the Environment Government of Japan

条約の内容

締約国は、指定された湿地の適正な利用と保全について計画をまとめ、法令に基づいた保護・管理などを実施しなければなりません。

正式題名が「特に水鳥の生息地…」となっていいますが、鳥類だけではなく、絶滅のおそれのある動植物が生育・生息していたり、その地域を代表とする湿地等も登録され、保護されます。

国際的に重要な湿地として、以下の基準が定められています。

  • 基準1:特定の生物地理区内で代表的、希少、または固有の湿地タイプを含む湿地
  • 基準2:絶滅のおそれのある種や群集を支えている湿地
  • 基準3:特定の生物地理区における生物多様性の維持に重要な動植物を支えている湿地
  • 基準4:動植物のライフサイクルの重要な段階を支えている湿地。または悪条件の期間中に動植物の避難場所となる湿地
  • 基準5:定期的に2万羽以上の水鳥を支えている湿地
  • 基準6:水鳥の1種または1亜種の個体群の個体数の1%以上を定期的に支えている湿地
  • 基準7:固有な魚類の亜種、種、科、魚類の生活史の諸段階、種間相互作用、湿地の価値を代表するような個体群の相当な割合を支えており、それによって世界の生物多様性に貢献している湿地
  • 基準8:魚類の食物源、産卵場、稚魚の生息場として重要な湿地。あるいは湿地内外の漁業資源の重要な回遊経路となっている湿地
  • 基準9:鳥類以外の湿地に依存する動物の種または亜種の個体群の個体数の1%以上を定期的に支えている湿地

注)上記の魚類とは、魚、エビ・カニ・貝類をいう

(環境省「ラムサール条約と条約湿地;国際的な基準」を参考にした)

日本では上記の国際的な基準のいずれかに該当することに加え、 国の法律(自然公園法、鳥獣保護管理法など)により、将来にわたって、自然環境の保全が図られること、地元住民などから登録への賛意が得られること、などが登録条件となっています。

登録されている日本の主な湿地

登録第1号は、1万8000ヘクタールの広さを誇る釧路湿原(1980年登録)で、その後順次登録湿地が増えて、2018年現在で56ヵ所が登録されています(世界全体では約2300ヵ所)。意外なところでは、首都圏の人にはお馴染みの葛西海浜公園も登録湿地となっています。

【写真】釧路湿原
  日本での登録第1号は、1980年の釧路湿原 photo by gettyimages

水に囲まれ、潤いある日本の国土は、登録湿地以外にも貴重な環境が数多くあります。また、人間活動によって創出されたり、人が手を加えることで管理・維持されてきた里地里山などの二次的自然の重要性についても理解されるようになってきました。水田やため池などは、まさに二次的自然に含まれる湿地といえます。

世界的には、条約が発効した1975年から2015年の間に、内陸湿地、海洋沿岸域湿地のどちらも、データが得られるだけでもおよそ35%減少したことがわかっています。実は、減少が懸念されている森林面積の約3倍のスピードで減少しているのです。マイクロプラスチックなど、あらたな懸念材料もあらわれ、条約の趣旨に沿った各国の取り組みがより重要となっています。

【写真】
  登録第1号(1975年)のイラン・アンザリでも環境破壊が深刻だ。水鳥の背後には数々の投棄物が photo by gettyimages