「緩和ケア」=望みがない、という意味ではない

「“緩和ケア”は名前の通り心身の痛みや苦痛を和らげる医療のことです。WHO(世界保健機関)は、1990年に緩和医療を“治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対するケア”としていましたが、2002年には“生命を脅かす病気による問題に直面している患者とその家族に対するケア”と定義を修正しています。

“緩和ケア”と聞くと多くの人は、終末期の医療=死に直面し治療の望みがない医療と思いがちです。でも、それは意味が違います。実際には、終末期に限らず、がんの治療と共に早期から介入して、患者や家族の幅広い苦痛を和らげることで、QOL(生活の質) を改善し、その人らしい人生を送るための治療を意味しています」(勝俣医師)

緩和ケアは、がん3大治療(手術、放射線、薬物療法)に加え、「第4の治療」として、医学的に認められている。

A:これまでの考え方、C:最近の考え方

緩和医療で、生存率が伸びるというデータも

緩和ケアは、終末期に関わらず行われると説明したが、実際に介入されるタイミングとしては、メインは進行がんや再発がんと診断されてから、すぐ(早期)に介入を勧めたい医療だと勝俣医師は言う(進行がんとは、がんの種類などによって異なるが、最初にできたがんが大きくなり、リンパ節転移や他の臓器への転移あるといった場合のこと。再発がんとはがんが再び発生したこと。同じ場所の場合もあれば、他の臓器に発生する場合もある)。その時期に緩和医療を介入することの効果も医学的に実証されている。

「進行がんの方の抗がん剤中に早期の緩和ケアチームのサポートが入ると、QOLが向上し、うつ症状が軽減され、亡くなる2ヵ月以内の抗がん剤日数を減らし、生存率が2.7ヵ月も伸びたということが証明されています(出典:NEngl J Med.2010;363(8):733-42.)。これはノーベル賞を取った進行肺がんに使うオプジーボ(免疫チェックポイント阻害剤)の延命効果2.8ヵ月と、ほぼ同等なのです」(勝俣医師)

進行がんの早期緩和医療で重要なことは、まず患者さんに現状を分かってもらい、治癒ではなく“共存”を目指すことだ。過剰な抗がん剤は避け、緩和医療を同時に行うことで、QOLが上がり延命効果が期待できることを理解してもらうことだ。

「そのためには、患者と医師の信頼関係がもっとも大事だと思っています」(勝俣医師)

3話では、緩和ケアの大切さを患者に理解してもらうシーンも多く描かれた。写真/フジテレビ