SARS感染拡大中に体験した「北朝鮮での予防隔離10日間」

新型ウイルス阻止の驚くべき対応とは

3度目の入国禁止措置

中国・武漢市から一気に広まった新型コロナウルスが原因の肺炎により、感染者と死者が急増している。こうした状況に対し、中国と国境を接する北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)では徹底した対策を講じているようだ。

国連機関の「世界保健機関(WHO)」によると、現在までに北朝鮮での感染確認の報告はないという。北朝鮮政府はWHOと連携し、国内へのウイルス流入阻止のために「国家的活動」を行なっていると宣言した。

在日朝鮮人を含む外国人の入国はすべて禁止。23日には、北京と平壌(ピョンヤン)間を運行している「中国国際航空」の運行を停止。北朝鮮国営の「高麗(コリョ)航空」は、2月10日までの運行停止との一部報道があるが、外国人を搭乗させずに減便して運航しているようだ。

28日の「労働新聞」は世界各国の感染者・死者の状況を伝えるとともに、国境・港湾・飛行場で検疫を徹底的に実施していることを伝えた。そして、外国出張者の感染が確認された場合の隔離の準備を進めていると報じた。

北朝鮮は過去にも2度、これと同じ措置を実施したことがある。2002年11月に中国の広東省で発生した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」は、一気に感染を拡大。致死率は約15%で、最終的には774人が死亡した。この時に初めて、入国禁止措置をWHOによる指導に基づいて実施した。

SARSコロナウイルス〔PHOTO〕Wikipedia

2014年、アフリカで発生した「エボラ出血熱」拡大の際にも外国からの入国を禁じ、その措置は約5ヵ月間も続いた。また、入国が必要な平壌駐在の外交官や、外国から帰国した自国民に対しては、21日間もの予防隔離措置を行なった。

「エボラ」対策を行なったのは保健省・農業省・労働省・鉄道省などからなる「国家緊急防疫委員会」。つまり、ウイルス流入を防ぐために国を挙げて取り組んだのだ。

北朝鮮は国土が狭く、しかも長期にわたる制裁を受けてきたため、多くの病院の設備は老朽化し、医薬品や医療機器が不足している。ワクチンのない新型ウイルスが流入すれば、またたく間に広がってしまい大きなダメージを受ける可能性が高いからだ。

じつは私は、「SARS」がもっとも猛威を振るっていた2003年4月、北朝鮮に入国して予防隔離を受けたことがある。以下、その時の個人的な体験談をお伝えする――。