海のブルーに良く似合う、ピンク色のブーゲンビリア。太陽を遮るグリーンには、幸せの青い鳥が佇んでいる。生命力に満ちた“色”に溢れる南の地を訪れるなら、色鉛筆と真新しいスケッチブックを忘れずに。南洋に浮かぶアメリカ合衆国自治領の島で、あるがままの自然、人々の暮らしと出会った。

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描くことで出会えた、
チャモロの人々。

ドーナツや軽食が買えるローカルな店〈Terry Snack Bar〉でも、ペンを取った。店を手伝う高校生の女の子をカウンター越しに描くエイドリアンさん。完成した絵を見て「Too Cool!」と喜んだ2人。/Terry Snack Bar Hilarion St., Chalan Kanoa, Saipan ☎+1 670-234-6684

車を走らせてたどり着いたのは、ローカルな街のキオスク〈Terry Snack Bar〉。おばあちゃんが夕食の支度をしている間、高校生の女の子2人が店を手伝っていた。昼食のドーナツを買い求めるより先に、「絵を描いてもいい?」とエイドリアンさん。恥ずかしそうに頷きつつ、興味津々に絵を覗き込んでいる。

アメリカらしい〈Terry Snack Bar〉のスパム握り。安くて美味しいソウルフード。

「私も絵に興味があるんだけど、高校を卒業してデザインの学校に行きたいと言ったら親に驚かれてしまって。だから、大学で教育を学んで将来は先生になりたいと思っているの」

ガラパンで人気のカフェ〈CHA Cafe & Bakery〉。2階には食事ができるビストロも。/CHA Cafe & Bakery Beach Rd., Garapan, Saipan ☎+1 670-233-2421

「僕は20歳から絵で食べているよ」とエイドリアンさん。「島に残っている若者の多くは、店で働いたり、観光の仕事をしたりしているのかな。でも、絵で生活できないイメージがあるとしたら違うかもよ」と少しのエールを贈る。先生になった時、絵の世界への夢を応援できるように。

サイパンらしい海の風景が広がる、マイクロ・ビーチで。沿岸にはヤシの木。ここでは、あえてスケッチブックを閉じてみる。砂浜に心のままに描いた線は、緩やかな波にすぐにさらわれてしまう。

ドーナツでお腹を満たした後は、繁華街のガラパンから歩いてすぐのマイクロ・ビーチへ。純白の砂浜と、遠浅の海は、最もサイパンらしい風景と言っていいだろう。素足になって、サラサラとした砂、海の温かさを感じる。スケッチブックの代わりに、遠くまで続く海岸線をキャンバスにしてみる。砂に描いた絵を、静かな波がさらう。太陽の下でしばし、海との追いかけっこを楽しんだ。