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強権独裁が横行する世だから読もう、非暴力・不服従の元祖「老子」

庶民が圧政に抗して生き抜く知恵

中国人の建て前は孔子、本音は老子

古代中国の賢人の教えは大変参考になる。孫子は欧米でも「戦略の教科書」として人気があり、多くの軍人・戦略家が活用。ナポレオン・ボナパルトが愛読したとの話が流布するほどである。

孫子については月刊「産業新潮」連載中の「孫子と三賢人のビジネス」(第1回は人間経済科学研究所HPで公開)などを参照いただきたい。

 

しかし、古代中国を代表する哲学といえば、やはり孔子・老子であろう。

中国共産党が1949年に政権を奪取した時に、連綿と続く古代からの英知や遺産すべてを「共産主義に邪魔な旧弊」だとして破壊の限りを尽くした。この時に失われた遺跡や英知は数知れないが、孔子に関するものも当然含まれていた。

ところが、その後孔子だけは復活し、孔子学院は「共産党が海外に勢力を伸ばすための機関」として、日本を含む世界中に根を張っている。

もちろん、孔子の教えが「共産主義中国の一党独裁」を肯定するのに都合が良いからである。

念のため、日本に伝わっている孔子の教えというものは「独裁者がカラスが白いといったら、ハイと返事をせよ」という部分が緩和されてマイルドになっているのだ。「孔子ファン」には申し訳がないが、「皇帝や共産党の独裁を肯定する」教えであることは間違いがない。

それに対して、老子は日本で「世捨て人が安らかに暮らすためのバイブル」のように扱われるが、決してそうではない。むしろ、「(孔子を悪用する人々に代表されるような)独裁権力に立ち向かう庶民の聖典」なのである。

例えば、共産主義一党独裁の大陸中国では老子は危険思想扱いだが、海外で暮らす華僑の家庭では「応接室の書棚には孔子が並べられ、リビングルームのテーブルの上には老子が置かれている」と言われる。

中国では「上に政策あれば、下に対策あり」という言葉があるが、独裁政権が孔子によって政策を行えば、庶民は老子によって対策を行うのだ。