松下奈緒演じる腫瘍内科医を主人公とした『アライブ』、天海祐希が天才脳外科医を演じる『トップナイフ』、上白石萌音主演の『恋はつづくよどこまでも』、伊藤英明主演の『病室で念仏を唱えないでください』、柄本佑によるNHKドラマ『心の傷を癒すということ』小泉幸太郎主演の『病院の治し方~ドクター有原の挑戦~』……2020年1月クールのドラマは医療ドラマがなんと6本! 医療現場には多くの人生があり、そこに興味を持つ人が多くいる証だろう。

我々が病院にかかるときにも気になるのが、医師と患者との距離感や関係性ではないだろうか。医師を信頼していいのか、質問していいのか、不安になったらどうしたらいいのか。ドラマの中にも葛藤し、ときに不安になったり励まされたりする患者の姿が描かれている。

国立大学の医学部を卒業後、海外留学も経て、20年以上現在生活習慣病の専門医として活躍している小田切容子さんに、実体験から「医師と患者との付き合い」で大変だったことと、上手な付き合い方を教えてもらった。

「人殺し!」と言われたときの恐怖

私は人殺しと言われたことがあります。

心疾患で入院していた年配の男性の患者さんでした。咳が出てきて微熱もあったので、抗生剤の点滴を開始しました。ところが翌日夜間に急激に悪化し、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という、肺が水浸しのようになる状態になってしまいました。この方は肺線維症といって、もともと肺炎を起こすと重症化しやすく、一旦人工呼吸器をつけることになったら離脱できない可能性が高い、つまり一生つけないとならなくなりかねない合併症を持っており、安易に挿管はできない患者さんでした。

ご家族をお呼びして状態を説明し、挿管し人工呼吸器をつけるかどうかのご意向を聞きましたが、患者さんの血中酸素飽和度がどんどん低下し、待っている時間がないため、ご家族の希望があり同意を得て挿管しました。集中治療室で管理することとし、抗生剤を変更したり様々な集中治療を行ったりもしました。しかしその後も酸素化が不良であり、最終的に気胸が多発してしまい、残念ながら、数日後にお亡くなりになりました。

ご家族の方には基礎疾患として心疾患と肺線維症があるところに肺炎を合併症するとリスクが高くなりますと当初からご説明もしており、経緯を細かく説明。「ありがとうございました」とお礼をおっしゃって帰って行きました。

ところが、しばらしくしたら手紙が私の机の上に置かれていました。

「ダンナは殺された。小田切の人殺し! 訴えてやる!」

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