日本人が知るべき、事故続発のボーイングと米政府「ただならぬ関係」

厳しい状況が続いているが…
時任 兼作 プロフィール

2度の世界大戦で強まった「結びつき」

ボーイング社が第一次、第二次世界大戦で米軍を軍事面で大きく支えたことは言うまでもない。第一次世界大戦時には、海軍のパイロット養成用に双フロート複葉単発約700機を生産し提供。その後、戦闘機製造に参入し海軍、陸軍に採用された。

また、第二次政界大戦に際しては、海軍、陸軍向けのパイロット養成用の練習機に加えて、爆撃機も大量に生産した。そこには、長距離爆撃機として名を馳せた「B29」戦闘機も含まれていた。広島、長崎に原子爆弾を投下した「エノラ・ゲイ」「ボックスカー」の機名で知られる戦闘爆撃機はそのうちの2機であった。

こうしたことから、ボーイング社と米軍の関係が濃密であったことは自明と言えるが、情報機関まで深く関係していたとは意外だ。

 

当時は米国のパートナーである英国が中心となってナチスの暗号解読に努めるなど、通信傍受の主力はそこにあったとみられていた。現在のGCHQ(政府通信本部)の前身であるGCCS(政府暗号学校)のことだ。対戦国のイタリアと日本の暗号も解読していたとされている。だが――。

「GCCSの活動の大半は対ドイツに割かれていたため、日本に対する通信傍受すなわちシギント(シグナル・インテリジェンスの略。電子諜報)は独自に行う必要があったし、日本に対する傍受の実績は英国に勝っていた。ボーイング社は無線施設を有していたため、当然その一助となった」

外事関係者は、そう言ってさらに続けた。

「この流れは、その後、ヒューミント(ヒューマン・インテリジェンスの略。人を介した諜報)にも拡大された。現在もシータック・マフィアの主要構成員たるCIA要員がボーイング社に研修などに訪れる世界各国のパイロットのリクルートなどを行っている。フィールドエージェント(現場諜報要員)にするためだ。

もちろんシギントも継続されている。2001年に米国で製造された中国の江沢民国家主席専用機、ボーイング767型機から27個のハイテク盗聴器が見つかって騒動になったが、こんなことは氷山の一角だ。こうした秘密裏の関係があるから、米政府はボーイングに弱腰になる。ある意味、一体であるからだ」