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米イラン対立で「第三次世界大戦」は本当にもうないといえる…のか?

最大リスクはトランプの「ラフな判断」
村上 和巳 プロフィール

全面戦争を望まない「米イラン両国の事情」

アメリカもトランプ大統領が言うようにイランとの全面戦争を望んでいないことは明らかである。

米軍が予備役も含め約240万人の兵力を有するのに対し、イランは国軍は約42万人、革命防衛隊と合わせても50万人にも満たないとはいえ、国土面積は世界第17位で人口は約8000万人。イランには非常時の数百万人規模を動員できる臨時徴兵制度もある。

米軍が本気で正面衝突すれば負けることはないが、ヒト・モノ・カネは膨大に消費することになる。

また、もしアメリカがイランと衝突すれば、革命防衛隊に育成されたヒズボラをはじめとする武装組織、親米のサウジアラビアをはじめとするアラブ湾岸諸国内で少数派として虐げられているシーア派住民がイランに同調して蜂起する可能性も十分にある。

そうなれば地域全体が不安定になり、まさにアメリカが重視する原油供給にも支障が生じる可能性は少なくない。

 

一方、イラン・イスラム共和国成立以来、アメリカと40年にわたって対立し続けてきたイランからすれば、米軍と正面衝突しても勝ち目はないことは先刻ご承知である。

また、イランは石油輸出国機構(OPEC)第2位の産油国とはいえ、核開発疑惑に対する国連の制裁なども影響し、2012年以降一貫して財政赤字が続いている。失業率も公式統計で10%超、国際通貨基金推計では15%超で、この数字は若年者に限ると20%超ともいわれる。

しかも、2018年5月、トランプ大統領はイランの核開発疑惑でのイラン・米英仏独中露6か国協議合意から離脱を宣言し、2019年5月からはアメリカ独自のイラン産原油全面禁輸措置に踏み切った。このようにイラン経済は迷走状態にあり、戦争などしている場合ではないのだ。