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米イラン対立で「第三次世界大戦」は本当にもうないといえる…のか?

最大リスクはトランプの「ラフな判断」
村上 和巳 プロフィール

日本人が知らない「ソレイマニ」

イラクはアメリカによるイラク戦争で打倒されたサダム・フセイン政権崩壊後、断続的に混乱が続いている。

そもそもフセイン政権時代は人口・宗派で約2割の少数派であるイスラム教スンニ派アラブ人が、人口の約6割のイスラム教シーア派アラブ人、それ以外のクルド人やトルクメン人を支配下に置き弾圧を繰り返していた。

この結果、シーア派の主な反政府勢力は同じシーア派多数のイランに逃れ、その庇護下にあった。フセイン政権崩壊後にこれらシーア派反政府勢力が帰国し、民主的な選挙制度を通じて実権を握ったものの、逆に意趣返しとして、スンニ派アラブ人は様々な迫害を受けるようになった。

 

こうした迫害の一翼を握ったのが、2007年に革命防衛隊の支援のもとイラク国内で創設されたシーア派民兵組織「カタイブ・ヒズボラ」だ。

ISがイラク北部を支配下に置いた際、イラクのイスラム法学者が呼びかけて結成された「国民動員軍」に加わってIS掃討作戦にも従事。その際にソレイマニ氏も現場でカタイブ・ヒズボラの作戦を指揮し、IS支配解放地域でスンニ派アラブ人の不法連行・拷問などに関与していたことも指摘されている。

ちなみにソレイマニ氏とともに爆殺されたアブ・マフディ・ムハンディス氏は、このカタイブ・ヒズボラの指導者である。

この経歴からも分かるように、そもそもソレイマニ氏は、イラン国外で軍事力を持ってイランの影響力を行使してきた根っからの軍人であり、そこには多くの非人道的な行為も含まれている。

ソレイマニ氏爆殺直後、日本のテレビではイランからの映像などで彼の死を嘆き悲しみ、アメリカに激高する住民の姿が映し出されていたが、その一方で現在も反政府勢力が支配するシリアのイドリブ県、あるいはスンニ派アラブ人が多いイラクの首都バグダッドでは、ソレイマニ氏の死を祝賀するデモもあったほどである。