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米イラン対立で「第三次世界大戦」は本当にもうないといえる…のか?

最大リスクはトランプの「ラフな判断」
村上 和巳 プロフィール

革命防衛隊の「正体」

そもそもイスラム教の中でも少数派と言われる宗派シーア派が国民の多数を占めるイランでは、1925~1979年までパーレビー朝と呼ばれる王政が敷かれ、急速な西欧化政策が推進。

この政策を批判し、フランスに亡命していたイスラム法学者のルッラー・ホメイニが指導した反政府運動・イスラム革命の結果、王政が崩壊し、1979年から現在まで宗教者が政治を監督するという政教一致の「イラン・イスラム共和国」が成立している。

 

同共和国体制樹立に貢献した武装組織を統合して結成されたのが「イスラム革命防衛隊」(以下、革命防衛隊)。もともとは打倒されたパーレビー王朝の親衛隊的性格を持っていた国軍に対抗する目的で作られた革命防衛隊は、イラン憲法上は国軍とは独立して陸海空三軍を有し、英国国際戦略研究所の推計による総兵力は12万5000人

イランでは弾道ミサイルは国軍ではなく、革命防衛隊が保有している。イランでの国家軍事組織は一軍・革命防衛隊、二軍・国軍のような状態である。

革命防衛隊の主任務は国内治安維持と国境警備、特に国内では政権批判勢力の取り締まりに当たる。イランの現政権に賛同派国民からは尊敬のまなざしを向けられる一方、同国内外の批判派には蛇蝎のごとく嫌われている存在だ。

一方、革命防衛隊には公然の秘密となっている「革命輸出」任務がある。

政教一致のイスラム国家樹立に成功した経緯から、イランの体制に共鳴する国家や他国内で活動するイスラム教シーア派武装組織、さらにはイラン周辺の敵対国内で活動する非シーア派の反体制武装組織への資金提供や軍事訓練である。

こうした革命防衛隊に訓練・支援された組織の中には、いわゆるテロ行為を行っている組織もある。さらにはイラン国外に亡命したイラン人反体制派の活動妨害や暗殺、敵国内での直接的な破壊活動にも従事する。

簡単に言ってしまえば、革命防衛隊そのものがテロ組織的な性格を有する。このため、米国務省は革命防衛隊をテロ組織に指定しているほか、欧州連合や国連でも革命防衛隊の一部幹部を名指しで経済制裁対象にしている。