# 自動車 # 日産 # カルロス・ゴーン

ゴーンには言われたくない、のろま日本人が独裁者より勝っていること

決断は遅くとも実行は早い
大原 浩 プロフィール

根回しは民主主義だ

皇帝ゴーンが生まれたのは、「首切り」を振りかざすことによって、日本の民主的根回し文化を破壊し、独裁制を強いたからである。

確かに、日産が一時期陥った、タイタニック号沈没に匹敵する危機的状況では、民主的な根回しは意味を成さなかったかもしれない。

 

自由主義、民主主義が「核心的利益」である英米でも、有事(戦時)には、中央集権的な統制が行われるのが当然とされる。危機に瀕しているときには、強力なリーダーシップが必要とされるというのは、否定できない歴史的事実でもある。

しかし、平時には、概ねそのような強力なリーダーシップは独裁へとつながり、国民(社員)を不幸のどん底に陥れる。

だから、ゴーンは、「有事の首切り屋」に徹して汚れ役を引き受けるだけであれば、拍手喝さいされたであろう。しかし、危機を乗り切った後も日産に居座り、私腹を肥やしたことによって「歴史に残る大罪人」となる道を選んだ。

確かに、根回しは時間がかかる。外国人が「何回も同じことを繰り返している」と感じるのも無理はないし、どちらかといえば短気な私も日本企業(特に大企業)との取引にはイライラすることがある。

しかし、関係者全員に仕事(プロジェクト)の趣旨を事前に伝え、それらの関係者全員の意見に耳を傾けるのは極めて民主的であり、かつ合理的である。

現場も含めたすべての人々の意見を聞くから、計画に欠陥があっても実行に移す前に是正される場合が多い。さらには、「仕事の趣旨や詳細」が全員に伝わっているから、いざ仕事が始まれば、一糸乱れずに確実にスタートを切ることができる。

ところが、欧米企業で働いた私の経験で言えば、彼らはトップの権限で次々と「決定」していくが、独りよがりの決定なので、積極的な反対派はもちろんのこと「趣旨をよく理解しない消極的反対派」の圧力によって、決定された計画が次々と途中で頓挫する。

しかし、彼らは自己評価を向上させるために「部下が無能だからこの計画は失敗したが、この新しい計画なら無能な部下でも実行できる」と、性懲りもなく「迅速な決定」を下すが、当然のごとく再び失敗する。

すると、その上司はある日突然他社に転職し、同じことを繰り返す。

「決定は早いが実現が遅い」のと「決定が遅いが実現が早い」のとでは、どちらが好ましいのかは論じるまでもないであろう。

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