# 日産 # カルロス・ゴーン # 自動車

ゴーンには言われたくない、のろま日本人が独裁者より勝っていること

決断は遅くとも実行は早い
大原 浩 プロフィール

全員一致は否決せよ

ピーター・F・ドラッカーは、経営に関する的確なアドバイス=名言を数多く残している。

その中で印象深いものの1つに「全員一致は否決せよ」というものがある。GM(ゼネラルモータース)中興の祖ともいわれるアルフレッド・スローンがモデルとなった言葉だ。

 

彼は、社内会議で採決を取り「全員一致」になった場合、必ず「皆さんの議論はまだ足りませんね。さらに熟慮いただいてから、もう一度会議を開くことにしましょう」と言った。

実は、「全員一致は否決せよ」は、中学生の頃読んだ、イザヤ・ベンダサン(山本七平)の大ベストセラー「日本人とユダヤ人」の中にも出ていた言葉で、「全員一致なのになぜわざわざ否決するの?」ということを長年不思議に思っていた。

しかし、ドラッカーの説明を聞いてスッと腑に落ちた。

彼は「全員一致」になるのは、概ね2つの状況の場合に限られると述べる。

1.独裁者(国家でも会社でも)が支配しており、反対意見を述べると(処刑、粛正、左遷)の危険がある。
2.会議のテーマに関心がなく、何も考えていないから反対意見を思いつかない。だから、多数派の意見に安易に相乗りする。

読者も日常で思い当たることが多々あるのではないか?

もちろん、ゴーンの目指す「迅速な行動」なるものは1に該当する。

実際、日産の経営陣には(最後には裏切ったりしたが)、ゴマすりばかりがいた(3月30日の記事「ゴーンもかつてそうだった…組織のトップは概ね『ゴマすり屋』である」参照)ので、ゴーンの「『首切り』をするだけで縮小均衡に向かうだけの誤った経営」に反対意見を述べる人物がいなかった。

ドラッカーが指摘するのは、「全員一致」で反対意見が無ければ、その「全員一致」の案がもしうまくいかない場合、プランを変更しようにも代替案(Bプラン)が存在し無いという危険な状態になるということだ。

弘法も筆の誤りというが、どのような立派な経営者でも間違いを犯す。ましてや、並みの経営者やゴーンのような三流の経営者であれば、頻繁に間違いを犯す。

「間違った判断を迅速に実行する」のは最悪であり、日産の凋落の原因の1つとも言える。

関連記事