11年ぶりVで流れた早稲田ラグビー部歌『荒ぶる』に込められた意味

歌いながら男たちは涙を流した
松原 孝臣 プロフィール

ラグビーに賭ける熱意とポリシー

また、1987年度に大学日本一となり、日本選手権で東芝府中を破ったときの監督、木本健治は、『荒ぶる魂 勝つために何を教えるか』(講談社刊)でエピソードを記している。

全国高校大会にキャプテンとして出場し、初戦で前年度優勝校に0-6と好勝負を演じ、自身、うれしかったし、関係者にほめられ、地元紙でも健闘を称えられた。だが、早大ラグビー部に入部すると、こう感じた。

「私は刮目させられた。高校とはいっても、ラグビーでは全国に名をとどろかした高校である。体力や技術がそれほど違うわけではない。もちろん練習についていけないことなどまったくなかった。

決定的だったのは、ラグビーに賭ける熱意とポリシーの違いである。<負けて”よくやった”というのは、しょせん勝てる相手ではなかった、いや劣っているということと同じである>」

1988年、豪州遠征をおこなった早大ラグビー部 photo by gettyimages
 

同じように感じた1人に、昨年のワールドカップに出場した山中亮平(神戸製鋼)がいる。山中は高校日本一となった名門・東海大仰星高校から早大に進学した。彼は1年生のときの取材で、入学後の印象について、こう答えた。

「驚くくらい、勝つことに執念が強いというか、勝つことを目的にしているんだなと思います」

東海大仰星高校と言えば、山中のときに日本一になっただけでなく、常に全国大会で上位に入る強豪校である。名門校から進んだ彼をして、そう思わせたのである。