ゴーンvs.警視庁捜査一課、正月返上「決死の攻防」のすべて

知られざる大捜査の内幕を明かす
週刊現代 プロフィール

もはや後の祭りだが、指をくわえて見ているだけでは、国の威信にかかわる。政府はただちに出入国在留管理庁のデータベースを調べたが、ゴーン氏の出国記録は確認できない。密出国が疑われた。東京地検特捜部は出入国管理法違反容疑で、警視庁に協力を要請した。

「突然呼び出されて、殺人でもあったのかと思ったら、ゴーンの件だというから驚きました。いまさら足取りを追ったところで、こっち(警察)の手柄になるわけじゃない。それでも、上は『とにかく頼むから』と言うばかり。正月休みに入ったばかりの捜査員らに次々と招集がかかったのです」(警視庁捜査関係者)

 

動員されたのは、捜査一課の殺人犯捜査係、強行犯3係の初動捜査班、ハイテク犯罪捜査係の精鋭たち。そこに防犯カメラなどの画像収集、分析のスペシャリスト集団である「捜査支援分析センター」、通称「SSBC」も加わった。

東京地検特捜部と捜査員らはまず、ゴーン氏が逃亡直前まで暮らしていた東京・麻布の制限住居に家宅捜索に入り、住居入り口にある監視カメラの映像を回収した。裁判所が保釈条件として設置を義務付けたものだ。玄関の扉の上に外向きに3台、さらに扉向きに1台の計4台の監視カメラが設置されていた。

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「玄関に取り付けられたカメラの映像は、1ヵ月分を後からまとめて裁判所に提出する方式だったため、逃亡を防ぐ役には立ちませんでした。しかし映像には、12月29日の午後2時半頃、ゴーン氏が一人で外出する姿がはっきりと映っていました」(前出・捜査関係者)

全身黒ずくめの服に、帽子をかぶり、白いマスクに眼鏡という出で立ちだった。