「合格できそうなところに入る」不安

一方で、「どこか合格できそうなところ」に入るために受験する子どもたちは心配でした。

特に、学校と塾がアンバランスな状態になってしまうと失敗する確率が高かったように思います。生活リズムが乱れ、時間が確保できず、学校の課題にも、塾の宿題にも集中して取り組めなくなります。何かひとつに集中するほうが子どもは達成感を得られるのに、どちらも中途半端になってしまいます。

「学校に行く」ことも生活リズムを作ることにもなる。もちろん試験前後、体調管理のために学校を休むこともあるだろうが、あまりに長期になるとそこでリズムを作ることも簡単ではない Photo by iStock

顕著なのは、1月に入るとまったく学校に来なくなるケースです。家や塾で追い込みモードに入ってしまう。子どもの日常が、日常でなくなってしまいます。首都圏では多くの受験が2月1日からの1週間に集中しており、その期間を過ぎると一区切りです。ところが、冬休み以降ずっと学校を休んでいた子どものなかには、受験期間を過ぎても欠席が続くケースもあります。とにかく、合格を勝ち取ろうと二次募集、三次募集と続けて受けているようです。

集中する気持ちを保てない子どもたちは、まだ「学びの旬」を迎えていないのかもしれません。親御さんとしては、「中学で受験した方がその後いいから」という思いやりだったかもしれません。でも、子どものほうは学ぶ旬、つまりピークを迎えていないので身が入りません。すると、親御さんのほうは「不安のピーク」を迎え、子ども以上に焦りが出てしまうようでした。

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不安なので、何か安心できるものが欲しい。その指標になってくるのが偏差値です。
これを子どもたちも常に気にしています。この学校に行くにはこの偏差値、というふうに偏差値の情報が飛び交う。そうなると、学校にいても偏差値がレベルを計るものになってしまいます。