女性の生き方は多様に枝分かれしていく。女であることに加えて、ときには妻、そして母になる人もいるだろう。働く女性ならば社会的な立場も加わっていく。その在り方に正解はなく、簡単に言ってしまえば人それぞれでいいはず。だが、ふさわしい役割に努めようと、“〇〇であるべき”という感覚に囚われてしまう女性も少なくないのではないだろうか。

映画『Red』で、夏帆さんが演じるのは裕福で、可愛い子供にも恵まれ、豊かな生活を送っているのに、どこか満たされず、閉塞感を感じている村主塔子という女性だ。元恋人と10年ぶりの再会を果たしたことから、塔子の人生は思いがけない方向へ大きく舵を切ることになる。劇中で描かれる塔子と、夏帆さん自身の生き方は重ならないながらも「どこか共感があった」と作品を振り返った。

インタビュー・文/長嶺葉月

女性に生まれ、女性として
生きていくことは変えられない

「私は結婚もしていないし、子供もいなくて、今回演じた塔子とはまったく環境は違います。違う面が多いながらも、なんだか不器用な部分は少なからず私にもあって。ちょっと我慢すればいい、折り合いをつけてこなせばいいのに上手く立ち回れない……そんな部分は私にもあるかなと思います。本来は強い意志を持った女性なのに、抑圧されて生きていて、自分らしく生きられないもどかしさも理解できました。

塔子を演じてみて考えさせられたのは、この先の自分の人生について。今までも、今も、ずっと仕事が常に自分の中心にある生き方をしてきて、もし縁があって結婚して家庭ができたり、母親になったりしたら、『私はどう変わるのだろう?』と最近すごく考えます。きっと仕事と家庭どっちも100%で両立するのは難しいだろうなと思いますし、実際に直面したら、私はどう向き合って、どんな選択をしていけばいいのだろうかと考えます。

この作品もそうですし、私の周りにいる人たちが変化してきたのも大きいです。あと少しで30歳になるけれど、私自身は年齢の数字にはピンときていなかったんですね。でも、同級生の家に遊びにいくと子供がいたりして、『あ、私自身も差し掛かっているんだ』と痛感しました。

同時に、私はそもそも器用なタイプではないので、妻だとか、母だとか、どうすればいいんだろうって。塔子もそうでしたが『女性だから折り合いをつけていかないといけないのかな』『じゃあ男性はどうなの?』と考えてしまったり。ただ、女性として生まれて、女性として生きている。そこを変えることはできない。その中で人生がより豊かになるための選択を私自身もしていきたいなって思います

撮影/生田祐介

――夏帆さんが演じる塔子は、貞淑な妻であり、よき母でもある。自我を抑えて、立場を全うする一面を夏帆さんはどう捉えたのか。そして、彼女が女優という肩書きにしばられることはあるのだろうか。

「私自身は“女優だから”と窮屈な思いはしたことがなくて、そもそも自分のことを女優と思ってないフシもあって(笑)。もちろん表に出る仕事をしている以上、気をつけなきゃいけないこともたくさんありますし、常に人から見られている意識は持ち続けています。プロとしてお金をいただいている以上、責任感もあります。自覚はあるけれど、女優というものには囚われていないかなと思いますね。普通に街中を歩いたり、遊びに行ったりしていますし、本当に普通にそこらへんにいますよ、私(笑)」