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メルケル首相の「最後の賭け」リビア会議で話し合われたこと

鍵は作ったが、使い方は決まっていない

EUの危機感が最高潮に達し

1月19日、ベルリンで「リビア会議」が開かれた。イニシアチブをとったのはドイツのメルケル首相とマース外相。

一般国民にしてみれば突然の話だったが、実は、去年の秋以来、ベルリンの首相官邸と外務省で、各国の関係者を招いて計6回も準備の会合が開かれていたという。

 

リビアといえば、状況はすでに絶望的なほどこじれている。したがって、会議が実現するかどうかも、間近まで定かでなかったらしいが、ドイツ政府の意気込みは大きく、めでたく開催に漕ぎ着けた。

それどころか蓋を開けてみたら、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、フランスのマクロン大統領、イギリスのジョンソン大統領、エジプトのシーシ大統領、EUのフォン・デア・ライエン欧州委員長、アラブ連盟やアフリカ連合の代表など、超大物のそろい踏み。アメリカはトランプ大統領ではなく、ポンペオ国務長官が、中国は楊潔チ(Yang Jiechi)が出席している。

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しかし、実はこれらの国々こそが、それぞれ自国の利害に基づいてリビアの戦争を継続させてきたプレーヤーでもあるから、ことは複雑なのだ。

リビアでは、国連が認めたファイズ・サラージ首相と、陸軍を掌握するハリファ・ハフタル将軍が対立し、今も熾烈な内戦が続いている。リビア会議の凄いところは、この宿敵二人もベルリンに来て、会議に出席こそしなかったが、水面下で数人の首脳と会談を持ったことだった。

サラージ首相には、国連がくれた「首相」という肩書きはあるが、実力がない。現在、かろうじて首都トリポリを押さえているが、実際にリビアの領土の8割とすべての重要な油田を握っているのはハフタル将軍だ。サラージは早い話、国連やEUからは放ったらかしにされており、仕方なく民兵や傭兵の助けで自分の陣地を守っている。

そうこうするうちに、リビアは、暴力だけが支配する犯罪の温床となってしまった。だから国連でもEUでも、リビアをどうにかしなければという危機感は最高潮に達している。

「リビアは広い国で、数え切れないほどの武装集団がおり、民間に2000万丁の銃が出回っている。この国を誰かが軍事的に制御できるとは思えない」というのが国連担当者の言葉だ。

そんなわけで、政治的な解決法を模索するため、リビア会議が開催されることになったわけだ。