ストロング系チューハイ、止まらぬ「アルコール度数過激化」の危険性

警鐘を鳴らす精神科医に聞いた

大反響の投稿を生んだ「医師の懸念」

2019年大晦日の晩、精神科医の松本俊彦さん(国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長)がフェイスブックに投稿した「ストロング系チューハイ」についての投稿が、新年早々に注目を集めた。

私の臨床経験では、500mlを3本飲むと自分を失って暴れる人多数です。大抵の違法薬物でもさすがにここまで乱れません。結局あれは『お酒』というよりも、単に人工甘味料を加えたエチルアルコール=薬物なのです〉(投稿から一部抜粋)

松本さんは、投稿時の心境をこう振り返る。

「あの日、たまたまストロング系チューハイと酒税に関するネット記事を読んで、感じることがありました。それで大晦日で気分が盛り上がっていたこともあって、勢いで投稿してしまったんです。そうしたら大変な話題になって……」

投稿の背景にある深刻な現実と懸念を、松本さんに聞いた。

 

アルコール度数12%のものも

ストロング系チューハイは近年、複数メーカーが新商品を次々と発売し、コンビニのアルコール飲料売り場で陳列面積を急激に拡大している。

写真はイメージです(Photo by gettyimages)

350ml缶で、セール時には100円を切る商品もあるなど安価だが、従来の缶チューハイとの差別化を図るため、アルコール度数は総じて9%と高く、なんと350ml缶1本で日本酒換算1合になる。500ml缶だと2本で3合を超える。アルコール度数が12%の商品も売り出され、タガが外れた状況となっている。

日本人を対象とする調査では、1日あたりの飲酒量が2合半を超えると、飲まない人と比較した自殺リスクが2・4倍に上昇。酒の影響による体調不良や失業、孤立などに加え、酒自体が衝動性を高め、自殺に向けての「最後のひと押し」となってしまう可能性が指摘されている。

また命にはかかわらないまでも、多量飲酒とされる3合以上の飲酒で酩酊状態に陥り、トラブルを起こす人は数多い。

「多量飲酒の一番のリスクは『衝動性の高まり』です。暴力事件の加害者の48~70%が、犯行当時にお酒を飲んでいたということがわかっています。また被害者の42%も、被害を受けた時にお酒を飲んでいました」