「海外は~」は「日本批判」じゃない

そもそも、仕事や家庭の事情での移住ではなく自ら海外に飛び出した人は、なにかしら日本文化に馴染めなかったり、その国に強烈に惹かれていたりする。だから必然的に、「日本ではこういうところが自分と合わなかったけれど、この国はそういうのがないからいい」という考えになりがちだ。

でもそう言うと、すぐに「海外かぶれ」「欧米賞賛」などと受け取られてしまう。

望んで海外に長く住んでいる人は、その国のいい面も悪い面も知ったうえで好きで留まっているのだから、その国びいきになるのは当然なのに。もしドイツに住みながら日本語でドイツの悪口ばっかり書きなぐっている人がいたとしたら、そっちのほうがよっぽど心配である。

たとえば、脱サラして田舎暮らしをはじめた人がいたとする。その人が、「東京では忙しない生活だったけれど、田舎暮らしはのんびりしていていいね」と言ったらどうだろう。

田舎暮らしをしたくて家族で移住した人がその土地の悪口ばかり言っていたら…Photo by iStock

その人がかならずしもサラリーマンを見下しているわけではないし、東京を憎んでいるわけでもない。ましてや、東京が「悪い」と思っているわけでもない。そちらのほうがその人の性に合っていただけだ。「東京と田舎を比較して田舎をよく言うなんてけしからん!」と怒る人はまずいない。でも、比較対象が「海外」となると、すぐに批判の対象になってしまう。

海外在住者もある意味「脱サラ田舎移住者」と似たようなものなので、あまり目の敵にしないでくれるとうれしいなぁ、なんて思う。