帰国後も止まらない、彼の猛烈アタック

トイレから戻ると、驚くほど手足が細くて小顔の、まるでアイドルのようなルックスのモンゴル人女性がエリックに媚びを売っていた。

なんでも、シンガポールでは自国で貧しい暮らしをしていたアジア女性が、シンガポールのお金持ちと玉の輿婚を夢見てたくさんの国から集まってくるそうなのだ。私とはまるで気合いが違う雰囲気だ。細身であまりない胸をギリギリまで寄せて、エリックにぐいぐい身体を押し付けている。彼女はここで生きていくことに本気の女。なんだかクレイジーな世界を見たような気がして、ドンチャンうるさい空間にも疲れた私は早々に帰ることにした。

すると、慌ててモンゴル女性を振り切って私を追ってきたエリックは、タクシーで私の泊まるホテルまで送ってくれた。「僕は今一文無しでカードも止まっているから、今夜は君のホテルに泊まるしかないよ」と、とにかく一文無しなことを猛アピールしてくる。実際財布がないのは分かっているが、自宅もあるんだし、家に着いたらお金は山ほどあるだろうし、私はさっさと部屋に帰ることにした。

家の鍵がないんだよ~。置いて行くなんて君は酷いよ~!」と、ホテルロビーのエレベータードアが閉まる寸前までエリックはゴネていた。日本人男性なら「恥ずかしい」という概念が常にあって、女性の前でこんな風にゴネないかもしれない。

でも、シンガポールの男性はストレート。欲しいものは欲しい。それを手に入れるまで分かりやすく相手に伝える。きっとエリックは、お金があれば何でも思うようになると思っているのだろう。が、「またね~」と言って私はエレベーターの閉ボタンを押した。

シンガポールで一番古い仏教寺院、観音堂。お供えを持ったシンガポール人で賑わっています。写真提供/歩りえこ

私が帰国後もエリックは毎日毎日「会いたい」「今何してるのハニー?」「今度いつシンガポールに来れる?」「僕だけのものになってくれる?」みたいな内容をたくさん送ってきた。5通のうち1通くらい、「今、〇〇してるよ」など軽い内容の返信をしているうちに、エリックは私の海外ロケ先のインドネシアにまで来るようになった。

彼は軽いノリではあるが、誠意を感じることもあったので、私たちはお試しでデーティングを重ねることになった。