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もう家族のお金も頼れない…日本社会の本当の崩壊が始まる

出生数90万人割れの意味とは?
衝撃の出生数90万人割れをもたらした若者の貧困化。この問題が露見せずに来たのは、親世代が多少なりとも蓄えた「家族マネー」の存在による。しかし、この先に待ち受けるのは、もはや家族のお金にも頼れない、本当の意味での日本社会の持続可能性の危機である――。
奨学金問題・ブラックバイト問題の提唱者にして現今の入試改革問題でも主導的役割を担う教育学者からの緊急提言!

出生数90万人割れの衝撃

厚生労働省が2019年12月24日に発表した2019年の人口動態統計の年間推計で、日本人の国内出生数は86万4000人となった。

前年比で5.92%減と急減し、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回った。2016年に100万人の大台を下回ってから、わずか3年で90万人を割る事態となっている。

厚生労働省「人口動態総覧の年次推移」より。このなかの「出生数」の折れ線に注目。
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厚生労働省の推計では、その後2021年に90万人を割り込むと予想していた。それが2年前倒しで90万人割れを引き起こした。日本の人口減少に拍車がかかるのは、避けられない状況と言っていい。

 

未婚化・晩婚化をもたらす若者の貧困化

人口減少をもたらしたのは、日本社会の急速な未婚化・晩婚化・少子化である。

『国勢調査』によれば、たとえば30代前半(30歳~34歳)の男性の未婚率は、1985年の28.2%から2015年には47.1%に上昇した。また20代後半(25歳~29歳)の女性の未婚率は、1985年の30.6%から2015年には61.3%に上昇した。未婚化と晩婚化の進行は、少子化に拍車をかけている。

未婚化や晩婚化をもたらしたのは何といっても、若年層の貧困化であろう。

1990年代以降、非正規雇用労働者の増加は続いている。総務省「労働力調査」によれば、1990年に881万人だった非正規雇用者数は2019年に2189万人と2倍以上になった。労働者全体の約4割が非正規雇用となっている。低賃金で雇用が不安定であれば、結婚することは容易ではない。また、近年では正規雇用であっても低処遇の周辺的正規労働者が増加している。