中国発「新型肺炎」が生み出す大事態を恐れすぎてはいけない理由

患者は犠牲者か、それとも…
美馬 達哉 プロフィール

検疫とグローバリゼーション

21世紀に新興感染症が続発している理由はじつは簡単だ。

人間の移動が、大量になり、世界規模になり、さらに高速化したこと、つまりはグローバリゼーションの結果なのだ。

人間から人間に感染してアウトブレイクを引き起こすウイルスは、パスポートを取得して自分だけで旅行するわけではなく、移動する人間とともに移動していく。

そこを利用すれば、感染者の移動を禁じることで感染症の拡大予防を行うことができる。

それが「検疫(クアランティン)」だ。

 

もともと「40日」という意味で、中世ベネチアがペスト(黒死病)の侵入を防ぐため、潜伏期間を考慮して40日間船舶や旅客を市内に入れなかった故事に由来している。

かつて、徒歩や馬車や船舶による移動だけだった時代ならともかく、航空機が当たり前になった現代では、こんな悠長なことは許されない。

そのため、現代での検疫は症状のある人か自己申告に限られている。

空港の検疫ではサーモグラフィーのカメラで体温チェックしているが、本当に通り抜けたければ、解熱剤を飲むことで簡単にパスできてしまう。

つまり、どこかで感染した後の数日間の潜伏期に飛行機などで移動し、別の場所で発症して周囲の人びとに感染させる、というシナリオを排除することは、グローバリゼーションを可能にした高速長距離移動という恩恵をあきらめない限り、ほぼ不可能なのだ。

もし飛行機を利用せずヨットによる移動を皆が行うようになれば、感染者は船内で発症するので検疫が機能しやすくなり、新興感染症アウトブレイクのリスクは下がる。

それはそれで、環境に優しく地球温暖化対策にもなるので良いことかもしれない。

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