中国発「新型肺炎」が生み出す大事態を恐れすぎてはいけない理由

患者は犠牲者か、それとも…
美馬 達哉 プロフィール

新興感染症と動物

今回の新型肺炎の原因はコロナウイルスであることが1月7日には確認された。

コロナウイルスによる呼吸器感染症は、人間のいわゆる「風邪」のなかのかなりの割合を占めているとされる。

その意味では珍しい病原体ではないのだが、問題はコロナウイルスの仲間がさまざまな脊椎動物にも広がっていることだ。

そして、ウイルスを持った動物と人間の接触をきっかけに、動物由来コロナウイルス感染症は、人間にとって未経験の新興感染症として登場してしまう。

さらに、人間から人間に感染するようにウイルスが突然変異したりすれば、診断法も治療法も確立しておらず、誰も免疫を持っていない新規な病気として、アウトブレイク(大流行)のリスクが生じるわけだ。

 

動物と人間の共通の感染症(ズーノーシス)は、こうした理由から、いま感染症や公衆衛生の領域で注目を浴びている。

ペットなどから感染する狂犬病(有名だが日本ではほぼ見られない)、オウム病、ネコひっかき病も、コンゴでの流行がなかなか収まらないエボラ出血熱(もとはコウモリのウイルスとされる)も、鳥インフルエンザも、ズーノーシスの一種だ。

コロナウイルスもズーノーシスとして、これまでにも2回話題になった。

2002年末から2003年3月までに、中国南部から発生してアウトブレイクを引き起こし、8000人以上が感染してその1割の生命を奪ったSARSは、もともとキクガシラコウモリに感染するコロナウイルスだった(正確にはハクビシンを経て人間に感染した)。

2012年からサウジアラビアなどで流行の続いている「MERS(中東呼吸器症候群)」もコロナウイルス感染症で、2019年末で累計2000人以上の感染者数に達し、その死亡率は30%を超えている。

そしていま、武漢からの新型肺炎の発生というニュースである。

1月21日時点で判明している情報では、500人前後の感染者数で死者は9人なので死亡率としてはSARSより低いようだ。

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