1年で1000個以上の星が誕生する「モンスター銀河」その正体は?

アルマ望遠鏡がとらえた激レア銀河
伊王野 大介 プロフィール

モンスター銀河は大量のガスを抱えているため、大規模なガスの噴出が起きている可能性が高いと考えられています。

モンスター銀河の種?

100〜110億年前の宇宙では、モンスター銀河はすでに大質量化しています。したがって、それ以前の宇宙において、モンスター銀河の「種」があったと考えるのが自然です。

 

アルマ望遠鏡によって、このような「超」遠方銀河の探査も進んでいます。

MACS1149-JD1と呼ばれる銀河が132.8億年前の宇宙に存在することが明らかになりました。さらに、この銀河からは酸素が検出されています。観測史上最も遠方の酸素の発見です。

ハッブル宇宙望遠鏡が赤外線で撮影した銀河団MACSJ1149.5+2223の画像の一角に、アルマ望遠鏡が電波で観測した銀河MACS1149-JD1を合成した画像。画像では、アルマ望遠鏡が観測した酸素の分布を緑色で表現している Photo by ALMA (ESO / NAOJ / NRAO), NASA / ESA Hubble Space Telescope, W. Zheng (JHU), M. Postman (STScI), the CLASH Team, Hashimoto et al.

また、アルマ望遠鏡を用いた観測により、同時期(およそ132億年前)の宇宙に存在するほかの銀河でも大量の塵と酸素が発見されました。銀河内に塵や酸素が存在することは、それ以前にその銀河で多くの星が生まれ、そして死んでいったことを示唆します。

もしかしたら、このような超遠方の銀河が、後のモンスター銀河に進化していくのかもしれません。

「モンスター銀河」の正体は?

アルマ望遠鏡を使った観測からわかってきたことは何でしょうか? モンスター銀河の正体は突き止められたのでしょうか?

これまでの観測結果や理論的な考察から、モンスター銀河から巨大楕円銀河のような大質量銀河が形成されるシナリオが少しずつ見えてきました。

アルマ望遠鏡の観測結果をもとにして描いた、モンスター銀河COSMOS-AzTEC-1の想像図 Photo by 国立天文台

初期の宇宙で誕生した銀河が周囲から落ちてくるガスを飲み込むことによって質量を増やし、形を変え、時にガスを宇宙空間にまき散らしながら、大きく成長して現在の巨大楕円銀河に至るというものです。

しかし、超遠方の銀河の観測例はまだ非常に少なく、全体像を掴むまでには至っていません。現在進行している大規模な調査や、今後のアルマ望遠鏡とすばる望遠鏡の連携によって、モンスター銀河の正体と巨大楕円銀河の形成過程についての理解が深まることがおおいに期待されます。

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