1年で1000個以上の星が誕生する「モンスター銀河」その正体は?

アルマ望遠鏡がとらえた激レア銀河
伊王野 大介 プロフィール

124億年前に(つまり地球より124億光年先に)、形成途中のモンスター銀河COSMOS-AzTEC-1(以下、AzTEC-1)が存在することが知られています。アルマ望遠鏡はこの銀河をかつてない高解像度で観測し、塵とガスの分布を描き出すことに成功しました

アルマ望遠鏡で観測したモンスター銀河COSMOS-AzTEC-1。銀河円盤中にあるガス(左)と塵(右)の分布をかつてない高い解像度で描き出すことに成功した Photo by ALMA (ESO / NAOJ / NRAO), Tadaki et al.

ガスが重力によってかき集められ圧縮されると、温度が上昇し、その領域ではやがて星が誕生します。つまり、ガスは星の「材料」であるといえるわけです。AzTEC-1の画像をくわしく解析したところ、銀河全体でガスから星が形成されていることがわかりました。

 

では、モンスター銀河における爆発的な星形成のエネルギー源は何なのでしょう? 

以前は、おもに銀河同士の衝突合体などの大規模な現象がその正体だと考えられていました。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡によるAzTEC-1の画像を調べても、大規模な銀河衝突の痕跡や証拠が見当たりません。これは、爆発的な星形成のエネルギー源が、銀河同士の衝突合体ではないことを示しています。

では、いったいどのようにして爆発的な星形成が引き起こされるのでしょう。現在、その候補として、銀河の外からのガスの流入が挙げられています。新しいガスが供給されることによって、モンスター銀河における星形成が促進されるシナリオが注目されはじめています。

そして、この解釈を支持する観測結果も得られています。

みずがめ座の方向にあるSSA22と呼ばれる原子銀河団(若い銀河の集団)をアルマ望遠鏡で観測したところ、合計18個のモンスター銀河が発見されました。そして、すばる望遠鏡で得られたデータを調べたところ、アルマ望遠鏡で発見されたモンスター銀河同士の間をつなぐ水素の存在が明らかになったのです。

地球から115億光年先(115億年前)の宇宙において見つかった「宇宙網」と呼ばれる水素ガスの大規模構造。青い部分が水素ガス、背景がすばる望遠鏡による可視光観測で得られた天体地図 Photo by 理化学研究所

銀河が星の数を増やし巨大銀河に成長するためには、ガスの流入が不可欠であることがこれらの観測から強く示唆されました。

上述のAzTEC-1の観測結果の解釈を裏付けただけでなく、アルマ望遠鏡とすばる望遠鏡の連携によって素晴らしい成果が得られました。

ブラックホールが成長を止める!?

周辺のガスの流入により銀河が成長していくのと同時に、その成長を阻害する物理現象が起こることも知られています。

銀河の中心に存在する超巨大ブラックホールが周囲のガスを集めて、壮大なガスの噴出を起こし周囲にガスをまき散らすことがあります。

このような現象が起こると、銀河内の星の材料が減少するとともに、銀河内部を星が形成しにくい環境に変えてしまうこともあります。

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