1年で1000個以上の星が誕生する「モンスター銀河」その正体は?

アルマ望遠鏡がとらえた激レア銀河
伊王野 大介 プロフィール

重たい星は寿命が短く、その最後に超新星爆発を起こし、周囲に物質をまき散らします。その物質の中に、星の表層で作られたガスや塵が大量に含まれています。

そのため、銀河の中には星だけでなく絶えずガスや塵が存在することになります。

カシオペア座の超新星残骸であるカシオペア座A Photo by Getty Images

塵は、その温度によって異なる電磁波を放ちます。若い星が放つ紫外線を浴びて温められた塵は、サブミリ波を放射します。サブミリ波は、波長が0.1〜1ミリメートルの電波です。

 

そのため、大量の若い星と塵をもつ銀河はサブミリ波で明るく輝きます。また、ひとつの銀河から届くサブミリ波の強さを測定することによって、その銀河で1年間にどれくらいの星が誕生しているか概算することができます。

実際に、100億年前の宇宙、つまりベビーブーム期の宇宙に、サブミリ波で明るく輝く銀河がたくさん見つかっています。そして、そのような銀河では、1年間に1000個以上の星が誕生しています。これは、天の川銀河の数百倍というとてつもないハイペースです。

そのため、発見当初はまったく得体の知れない怪物のような印象を与えたので、「モンスター銀河」と呼ばれるようになりました。

モンスター銀河は、すべての銀河の数に対して0.01%以下しか存在しない、非常にレアな銀河種族です。くわえて、速いペースで星の数を増やし成長していることから、巨大楕円銀河の形成に密接に関わっていると考えられています。

しかし、モンスター銀河が具体的にどのように星を形成し成長していくのか、その詳細はまだわかっていません。

 サブミリ波で見えて、可視光線で見えない

大量の若い星と塵をもつ銀河はサブミリ波で明るく輝きます。では、そのような銀河を可視光線で観測すると、どのように見えるでしょう?

塵は可視光線を透過しません。そのため、塵につつまれた若い星々が放つ光は、塵の壁によって遮られてしまいます。よって、大量の塵をふくむ銀河は、可視光線では暗く見えるのです。

実際に、アルマ望遠鏡で得られたサブミリ波の画像と、ハッブル望遠鏡で得られた可視光線の画像とでは、見え方がまったく異なる場合があります。

さらには、サブミリ波で明るく輝いているにもかかわらず、可視光線ではまったく見えない銀河が多くあることがわかってきました。

ハッブル宇宙望遠鏡による可視光線の画像(左)と、アルマ望遠鏡によりサブミリ波で観測されたモンスター銀河の画像(右)。サブミリ波では明るく輝いているが、可視光線による観測では何も写っていないことがわかる Photo by 東京大学 / CEA  /国立天文台

可視光線だけで初期宇宙の様子を探ろうとしても、重要な天体たちを見逃してしまう可能性があるのです。

宇宙の星形成の歴史や銀河の成長の謎を正しく理解するためには、サブミリ波と可視光を観測する装置の連携が必須であることを示しています。

モンスター銀河のエネルギー源

アルマ望遠鏡を使うことによって、モンスター銀河の詳細が少しずつ明らかになってきました。

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