「日本は欧米と価値観を共有してる」その認識、ビジネスリスクの温床です

ゴーン事件で浮き彫りになったこと
加谷 珪一 プロフィール

中国は賞賛されていないが、理解はされている

どうも日本人は、誤解が生じていることと、双方の認識や立場が違うことを峻別するのが難しい国民のようである。先日、麻生太郎財務相が「日本は2000年にわたって同じ民族、一つの王朝が続いている」と発言し、政府の公式見解と異なるとして批判される出来事があった。これに対して麻生氏は「誤解が生じているなら、おわびの上、訂正する」と述べている。

日本は米国や台湾と同様、先住民族が存在していた国であり、政府の公式見解も同様だが、麻生氏の発言は明確に誤りであって、誤解が生じているのではない。麻生氏は以前にも同じような発言をしたことがあるので、今回、言葉がすべったわけではないだろう。こうした状況を総合的に考えると、麻生氏は本気で「誤解が生じている」と認識している可能性がある。

麻生財務相〔PHOTO〕Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images
 

同じような傾向は森法相のツイッター発言からも見て取れる。森氏はツイッターでゴーン被告に対して「無罪を証明すべき」と書き込み、「言い間違いである」として、後で書き換えるという行為を行っている。民主国家における刑事司法では、犯罪を証明するのは100%検察の義務であり、法務大臣が被告人に対して無実を証明しろと迫るのは、民主的な諸外国の価値観に照らせば確実に人権弾圧と映る。

森氏は法曹界の出身なので刑事司法について専門知識があるはずだ。もし民主国家における刑事司法の基本的な価値観について賛同しているのであれば、間違いなく事の重大性に気付くはずである。森氏は単なる言い間違いであると主張しているところを見ると、根本的な価値観の違いがあるとは認識していないように見える。