子どもたちの不安

筆者自身ががんを経験し、がんの啓発活動をする中で、さまざまながん経験者の仲間と出会い、大きな問題として認識したことがあります。それが、がんを患った人を親にもつ子どもの問題でした。

こんな例があります。乳がんを患ったAさん(42歳)の小学生の娘が、治療から2~3年経ったころ、突然Aさんに「お母さん、私の胸にしこりがある。がんかもしれないから、病院に連れて行って」と訴えました。Aさんが小学生の娘の胸を触り、「それは、乳がんではないよ」と説明しても、「がんの病院に行く!」と聞きません。

-AD-

結局、Aさんの乳がんの主治医のもとに娘を連れて行き、医師から「がんではない」と説明を受けるまで、決して納得しなかったそうです。

「娘は、私が乳がんになったから、きっと自分もがんになると思い込んでいたのでした。私の乳がんが娘をこんなに傷つけていたことに、そのとき初めて気づきました」とAさん。

また、Sさん(48歳)が乳がんの闘病中、高校生だった息子さんは、しばらくしてうつになり、不登校に。母親ががんの治療で苦しんでいる姿を見て、思春期の彼は「自分は周りの友達とは違う存在になった…」と疎外感をもったと言います。

今は、病気も治り、大検に合格し大学受験中で頑張っていますが、「親ががんになること。親ががん治療で苦しむ姿を目の当たりにするのは、家族としてとても苦しいこと。友達には、親ががんだということは、あのときは決して言えないことだった」と息子さんは話します。