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「ポスト・プーチン」への動きが静かに始まっている

ロシア「首相交代劇」の意味を読む

まず憲法改正

15日、プーチン大統領は議会で年次教書演説をし、その最後に憲法改正に言及。(多分来年の総選挙から)首相は議会で選出することとし、その結果を大統領は拒絶できないようにしよう、と提案した。

これまでは、大統領選挙の後、大統領が首相候補を議会に提示、それを議会が投票で承認することとなっている。

 

プーチンは、2021年までに次の大統領にしたい者に目星をつけ、「総選挙の結果、選ばれた首相」ということで、直選に近い権威と人気を付与して、その首相を2024年の大統領選挙に立てようという算段ではあるまいか。

その後もプーチンは、今後強化される国家評議会(両院議長、知事、元知事等の集まり)の議長、あるいは別の機関の長としてお目付け役として残るだろうが、彼も人間。そのうちには無力となろう。

メドベジェフ内閣の総辞職は予想外の出来事であったかもしれないが、プーチンの目玉政策である大規模経済プロジェクト数件を今に至るも本格始動できず、そのためにGDP成長率を下げてきたメドベジェフを除去したことは、彼に引きずられてプーチンが早期にレーム・ダック化するのを防ぐこととなった。

そして後任のミシュースチン首相(これまで国税庁長官)はこれまで無名だが、10年間の国税庁長官在任中、税制のIT化を劇的に進めて徴税率を飛躍的に向上させるとともに、税制の透明化と過剰な査察の大幅削減でビジネス環境を大きく改善した剛腕テクノクラートである。

ロシアのマスコミは早くも、「作曲もする。ピアノも弾く。ホッケーも玄人はだし。実業家時代には大成功」というモダンな人物像を売り込み始めている。これから大化けする可能性のある人物であるが、全てはやらせてみなければわからない。ロシアの経済政策に変化はないが、ものごとはダイナミックに動き出す可能性がある。

今回プーチンが、「国際合意はロシア憲法に反すれば国内で実施しない」とのラインを示したことで、憲法の禁じる領土割譲を伴う北方領土問題の解決はますます難しくなったとの声があるが、憲法云々はロシア側が以前から述べていたところ。

唯一、漁業面での日ロ合意をロシアが引っ繰り返してくる可能性があり、その場合、こちらも同様の超法規的行動を示唆して、牽制するべきだろう。