元Uber社員、自動運転責任論を斬る「トロッコ問題はナンセンス」

実現へ最後のカギは「政治力」!?

普及という観点でより重要なのはレピュテーションです。自動運転の実証実験などで事故が起きれば、開発企業の評判が下がり、その分だけ普及が遅れる。そのような事態は避けなければいけません」

 

完全自動運転のメリットとデメリット

──完全自動運転が実現した場合、どのようなメリットがあるのでしょう。

「ひとつは先ほども言いましたが、100%ではないが人間ドライバーより安全性が高いことです。人間が操作しなくて済むので、運転という行為における不確実性を排除できます。

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環境面でもメリットがあります。完全自動運転ではガソリンの使用度まで最適化されるので、環境に優しい。

また、駐車場も今ほどは必要なくなるでしょう。私が以前住んでいたサンフランシスコは、土地の1/3が駐車場で埋めつくされているにもかかわらず渋滞が常態化している。自動運転になれば駐車場に使われている土地が余り、渋滞も減るでしょう。

一方、想定されるデメリットもあります。先ほどの渋滞が減るという発言と矛盾しますが、逆に自動運転車による渋滞が発生する可能性があります。

自動運転車が目的地まで運んでくれるのなら、電車などの公共交通に面倒臭さを感じ、誰も公共交通を使わなくなって自動運転車になだれこむため、自動運転車による渋滞が起きるという理屈ですね。

どちらに転ぶかは、まだ実現していないので誰にもわかりません」

──自動運転車が何者かによって乗っ取られた場合、事故を誘発するのではという意見も聞きます。

「ハックされた場合一番危険な飛行機ですら、外部からハックされたのを聞いたことがありません。自動運転車も従来の車と同程度のセキュリティを担保されているので、特別に危険ということはありません。

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また、信号がなんらかのシグナルを自動運転車に送信できるよう、法律面でも整備が進んでほしいですね。完全自動運転に向けて信号や道路も最適化するイメージです。自動運転車同士で信号をハブにしてシグナルを送り合い、コミュニケーションができるようになればいいと思います」

──自動運転の普及に重要なことはなんでしょうか。

「自動運転の普及には政治の力が強く影響すると思います。シンガポールやドバイなど、ある程度規模の小さい町で、政治の力で普及していくでしょう。

ドイツのベルリンでは、ガソリン不使用の車しか走れないゾーンがあるように、特定のエリアで自動運転車のみ走行可能にするなどの取り組みは現実的だと思います。

政府が自動運転車を買って街中に配置すれば、電車のように公共交通になります。まずは政府が、これまで自動車に投資してきたように自動運転に投資すべきです」