元Uber社員、自動運転責任論を斬る「トロッコ問題はナンセンス」

実現へ最後のカギは「政治力」!?
機械学習技術におけるブレイクスルー、ディープラーニングの登場によって、画像認識技術は飛躍的に進歩した。機械が「目」を得たとも言われている。

画像認識技術の進歩で、多大な恩恵を受けた領域のひとつが自動運転だ。自動運転では、対向車の速度や大きさをカメラで測るために画像認識の技術を用いる。

今回は、もともとUberで自動運転の研究を行なっており、現在はLionbridgeでAI開発に必要な学習データの収集やアノテーションを効率化するプロダクトのグロースに携わるチャーリー・ワルター氏に、自動運転について解説してもらった。

この記事は〈Ledge.ai〉より作成しました。元記事はこちら

性能評価の問題点をビジネスに

──前職では米Uberで働かれていたとお聞きしました。具体的にどのような業務をされていたのでしょうか。

 

「前職では米Uberにて、自動運転における性能評価ソフトのPM(プロダクトマネージャー)として業務に携わっていました。性能評価とは、作成した自動運転のモデルが、前のモデルより精度がいいのかどうかテストすることです。

チャーリー・ワルター Lionbridge VP of Product & Growth

自動運転モデルの性能評価をするには、現実の車で数百キロ、数千キロを走行する必要がありますが、これには時間とお金がかかります。新しいソフトを実際の道路で試すわけですから、ドライバーの安全対策ももちろんやらなければいけません。

そこでボタンを押せばすぐにモデルの性能評価ができる性能評価ソフトのニーズがあり、そのソフトのプロダクトマネージャーをしていました。

性能評価ソフトを作るためにも、データ収集など膨大な苦労があります。性能評価には2つの方法があります。3Dのバーチャル空間で自動運転車を走行させる方法と、事前に録画した動画とLIDAR(レーダーの電波を光に置き換えたレーザー)のセンサーデータをモデルに入力してみて、ある状況ではどう動くかなどをテストする方法があります」

ボトルネックは「センサー」の開発

──現在の自動運転開発において、ボトルネックはどの部分になるのですか?

「自動運転車には対向車や障害物を認識するための画像認識技術を用いたカメラと、対象物までの距離を認識するセンサーが必要ですが、その技術の開発が進んでいません。

とくにレーザーの性能が足りていません。レーザーは1980年代から1つの企業による独占で研究が進んでいなかったため、今まさに研究が進みはじめた分野です。

通常、自動運転車はLIDARと呼ばれる光のレーザーを飛ばし、対向車までの距離を測ります。この測定範囲は50mがせいぜいで、それ以上の距離を測るのは現時点では技術的に困難です。

しかし、高速道路などでは車が高速で走行するため、200mくらい先まで測定できないと実用化はできない。そのぐらいの距離でも測定できるセンサーもあるにはあるのですが、高価なこともあり、まだまだ普及しているとは言い難い状況です」

高速道路用のセンサーは普及していない Photo by iStock

──センサーなしでは距離を測るのは難しい?

「じつは、自動運転開発企業のなかでも距離を測る手法は2つの流派に分かれます。先ほどのカメラとレーザーを用いて距離を測ろうとする流派と、カメラのみを用いて距離を測る流派です。