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米中貿易交渉第1段階合意は「中国の勝ち」と断言できる5つの理由

まさに願ってもない展開だった

この一時休戦を中国側から見てみると

先週1月15日、ホワイトハウスでドナルド・トランプ大統領が、『アメリカ政府と中華人民共和国政府間の経済貿易協定』に署名した。いわゆる「第一段階の米中貿易協定」である。

この日のトランプ大統領は喜色満面の様子で、ホワイトハウスのオーバルオフィスに、米中の関係者たちを立たせたまま、1時間も即席のスピーチに及んだのだった。

「中国は今後2年間で、アメリカからの輸入を、2017年のレベルに較べて2000億ドル増やす。その内訳は、農産品320億ドル、工業製品780億ドル、エネルギー関連520億ドル、サービス関連380億ドルだ。特に中国は、わが国の牛肉・豚肉・鶏肉など多くの農産品を買ってくれると約束した……」

 

トランプ大統領は、完全に選挙演説のノリだった。自分を隠せない人だから、要は、今年11月に迫った大統領選挙に向けたアピールの一環と考えて中国と妥結したことが、ありありと見てとれる。

その横で、威厳を保つ格好を取り繕いながらも、笑顔を覗かせる白髪頭の中国側代表・劉鶴副首相。そして、口を真一文字に結んで、終始厳しい表情を崩さなかったマイク・ペンス副大統領。

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私はこの協定の全文(中国語バージョン)に目を通したが、8章立てとなっていた。具体的には、以下の通りだ。

第1章 知的財産権
第2章 技術移転
第3章 食糧と農産品貿易
第4章 金融サービス
第5章 マクロ経済政策と為替問題と透明度
第6章 貿易拡大
第7章 双方の評価と争議の解決
第8章 最終約款

この順番を見ても分かるように、トランプ大統領は第3章の部分ばかりを強調していたが、アメリカ側の本筋は、第1章と第2章の部分なのである。つまり、中国国内の市場をこじ開けさせることにある。

協定を精読すると、この2年近くというもの、米中両大国で凄まじい交渉を行ってきた「爪痕」が、散見される。ちなみに中国側は、「米中貿易交渉」を、2018年2月末に劉鶴副首相(当時は中央財経指導小グループ弁公室主任)が非公式にワシントン入りした時を起点としている。

ともあれ、1月15日のホワイトハウスの映像だけを見ていると、トランプ大統領が、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国に成長した中国を、完全に屈服させたかのような印象を受ける。日本側の報道でも、そのような見方があった。

だが私から見れば、今回の勝者は明らかに中国の方だ。「中南海」(北京の最高幹部の職住地)は、1月25日の「春節」(旧正月)を控えて、分厚い『アメリカ政府と中華人民共和国政府との間の経済貿易協定』を前に置いて、祝杯を挙げたに違いない。

それでは、なぜ中国側が勝者だと言えるのか? 具体的には下記5つの理由による(以下はすべて、中国側からの見方である)。

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