三菱電機にサイバー攻撃「中国系ハッカー集団Tick」の恐るべき正体

日本は食い物にされている
山田 敏弘 プロフィール

実力は米国、ロシアに匹敵

中国のサイバー部隊の数は10万人とも言われたが、その数はどんどん増え、中国政府は2015年頃から本格的な組織の再編に着手。人民解放軍戦略支援部隊(SSF)を創設し、サイバースパイ工作からプロパガンダ、破壊工作まで、中国のサイバー戦略を包括的に取りまとめている。

その中でもサイバー攻撃に特化している部隊は、サイバー・コー(サイバー部隊)と呼ばれており、3PLAもそこに組み込まれた。中国のサイバー部隊は現在、軍のサイバー兵士が7万人ほどで、民間から協力しているハッカーらは15万人ほど、合わせて22万人以上の規模になるという。

 

欧米の情報機関に長年勤めていたサイバースパイは筆者の取材に、「欧米の情報機関は、中国は通常兵器よりもサイバーに力を入れていると分析しています」と話し、さらに「サイバー関連組織は拡大し続けており、全体で数百万人が関与しているとみられる」とも指摘している。

こうしたサイバー空間などをめぐるCIA元高官やMI6元スパイなど情報機関関係者らの分析も、拙著『世界のスパイから食い物にされる日本』で詳しく書いているので、ぜひ参考にしていただきたい。

最近話を聞いた元CIA(米中央情報局)でサイバーセキュリティ部門のトップを務めていた人物は、「中国のサイバー部隊は、米国やロシアに匹敵するサイバー攻撃能力を持つ」と語っている。

「中国の政府系ハッカーらは日本のシステムに深く入り込むことに成功している。ロシアやイラン、北朝鮮などともダーク(闇)ウェブでツールなどを取引しながら攻撃している」

そのような強大かつ統制のとれた敵が日本を襲っている現実を、私たちはしっかりと認識すべきである。

今回、対日サイバー攻撃の実態があまり明るみに出ない中、三菱電機がサイバー攻撃にさらされた事実を認めたことは評価できるし、被害に遭った経験のあるそのほかの企業も、ぜひ続いてほしい。東京五輪を前に、問題を直視し、教訓をしっかりと生かすべきだろう。