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韓国・文在寅政権が「決められない政治」と「自己矛盾」に陥った理由

日本はどう対応すべきか

裏切られた期待

1月14日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は大統領府で年頭の記者会見に臨んだ。内政から外交まで幅広い質問が飛び交うなか、文氏は日韓関係にも言及した。

だが、その内容は悲しいかな、先祖返り、原点回帰という内容だった。日韓間の最大の懸案事項となっている徴用工判決問題について、文氏は「韓国政府はすでに数回にわたって解決策を提示してきた。日本も解決策を提示しながら韓国と一緒に考えるべきだ」と語った。

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安倍晋三首相は、まだ1カ月前にもならない昨年12月24日、中国・成都での日韓首脳会談で、こう呼びかけていた。「韓国政府の責任で問題を解決してほしい」。

日本政府は過去、日本企業に元徴用工らへの損害賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決が、1965年の日韓請求権協定を破壊すると主張。韓国が自らこの問題を解決してほしいと訴えてきた。

日本が徴用工判決の解決に乗り出せば、この主張を覆すことになる。だから、徴用工訴訟原告団が1月6日に、問題を解決するための日韓の民間レベルによる協議体新設を呼びかけた際も、評価するコメントを出さなかった。

文氏は12月の日韓首脳会談で「お互いに知恵を出すべきだ」「司法判決に行政は介入できない」と繰り返したものの、安倍首相の呼びかけについて「重大な問題だと認識している」と答えてもいた。

 

首脳会談に先立ち、韓国政府の1人は日本側に対して「文在寅大統領は正しい情報があれば、正しい判断ができる人だ」と説明していた。「情報が不足しているだけだから、安倍首相が直接、日本の立場を伝えてくれれば、文大統領も考えを変えるかもしれない」という趣旨だった。

また、文氏は昨年10月、側近だった曺国(チョ・グク)氏を法相から事実上更迭するに先立ち、ソウル市中心部で行われた大規模市民集会について「国民の多様な声を厳粛な気持ちで聞いた」とも語っていた。11月には、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を寸前で回避した。

こうしたなか、日本側の関係者の一部には「今度こそ、文氏は姿勢を変えるかもしれない」という淡い思いがあった。その期待が、14日の記者会見で、見事に裏切られる結果になった。