『全米主要ニュースサイトへの絶大なるリンク誘導をもたらすサイト、ドラッジ・レポートとは?』

マット・ドラッジ(Matt Drudge)氏(写真は2005年に撮影されたもの)〔PHOTO〕gettyimages

 5月上旬、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ等全米主要ニュースサイトがどのように読まれているかに関する驚くべき調査結果が、米民間世論調査機関ピュー・リサーチ・センターにより発表されました。

 調査結果によると、6割程度は各ニュースサイトURLの直接入力、或いは各自のブックマーク経由、そのうち3割程度はグーグルが運営するニュースサイト(グーグル・ニュース)、或いは検索結果経由とのことでした。

 ここまでは驚くに値しないかもしれません。注目に値するのは、約7%の流入をもたらしているのが、フェイスブックでもなく、ツイッターでもない、ニュース・アグリゲーション(集約)・サイト、『ドラッジ・レポート』(Drudge Report)という結果だったことです(フェイスブックは約3.3%、ツイッターは約1%)。特に政治関係のニュースが豊富なワシントン・ポストに関しては、サイト訪問者の約15%が同サイト経由という、影響力の強さを示したのです(以下の図を参照) 

主要ニュースサイトへのドラッジレポートの影響力

『ドラッジ・レポート』とは?

 日本ではおそらくあまり馴染みがないこの『ドラッジ・レポート』とは、 マット・ドラッジ氏が1996年に電子メールニュースレターとしてスタートし、1997年からは主要速報ニュースへのリンクに独自の見出しを盛り込み、運営をしているニュースウェブサイトです。サイトを一見するとそのあまりのシンプルさに驚くことと思いますが、このドラッジ氏一人で運営しているサイトの頻繁な更新頻度、確かな目利き力が人気となり、今では月間ユニーク訪問者数は1,200万~1,400万を誇ります。

『ドラッジ・レポート』HP

 ドラッジ・レポートを一躍有名にしたのは、1998年、「ホワイトハウスのインターン」とビル・クリントン大統領の間の「不適切な関係」(モニカ・ルインスキー・スキャンダル)についてのスクープでした。ニューズウィーク誌が情報を持っていながら、そのことを公開しなかった、というニュースをドラッジ氏が報じたのです。ドラッジ氏自身は普段独自の記事を書くことは殆どなく、ニュース性があると思われる他の主要サイトの記事、コラムのリンクをいち早く張り、独自の見出しをつけるところがその特徴です。

 例えば、執筆時の今現在の話題の見出しを覗いてみると(5/30)、「Iran plans own Internet...」 というとてもシンプルな見出しが、静かに追加されています。この記事はウォールストリート・ジャーナルの「Iran Vows to Unplug Internet(イランが外部とのネット接続を遮断へ)」の記事にリンクがされているだけです。

 ドラッジ氏はツイッターのアカウントを持っているものの(@drudge)、ニュースを配信する訳ではなく、フォロワー数も4万2千人程度と決して多いとはいえません。つまり、多くの人がドラッジ・レポートをブックマークして頻繁に訪れる、或は各種スマートフォン用のアプリにアクセスをすることで、その膨大なトラフィックが生まれているのです。

 ドラッジ氏のユニークな経歴も注目に値します。1966年生まれのドラッジ氏はワシントンDC近くのメリーランド州で生まれ育ち、高校を卒業後、何年もの間、コンビニの夜間販売員や、書籍電話セールス、食料雑貨店での販売アシスタントなどをしていたのです。1989年、ハリウッドに引っ越し、放送局CBSのスタジオでのギフトショップで仕事を見つけ、そこで生の情報が行き交う様、ゴシップ情報に通じるようになり、それがドラッジ・レポートの土台となったと言われています。

 米国において、1人の個人によるメディアがここまでの影響力を持ちつつあることに隔世の感を改めて抱きます。メディア業界にいる方は今後のビジネスモデルを考えるヒントとして、そして若くしてキャリアを模索している方は、ひとつの個人ブランドの構築の仕方、新しいメディアの作り方として、ドラッジ・レポートから学ぶことが出来るのではないでしょうか。
参考:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2334

 1998年6月にドラッジ氏がナショナル・プレス・クラブで行った講演とQ&Aセッション動画(40分)の中には、マスメディアの未来、表現の自由、情熱に従いキャリアを築くことの大切さに関し、力強いメッセージが込められています。

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