photo by iStock

Amazonが膨大な事業を抱える本当の理由 20年代の企業戦略

収益はどこからあげても大丈夫
(以下の文章は書籍の一部を編集部で編集・再構成したものです)

様々な事業を展開するアマゾン。その強さは、「複数ある顧客とのタッチポイントのどこかで収益を上げれば良い」と考えている点にある。一方でソフトバンクは、様々な有望企業に投資し、世界で強い影響力を誇っている。「どちらも将来のビジョンを見据えた展開である」と『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』を上梓された山本康正氏は主張する。

これからの時代に大企業が進むべき道はどこにあるのか。アマゾン、ソフトバンク、グーグルなどを例に解説する。

収益はどこから得てもOK

価値の源泉がハードウェアからソフトウェアに移行したとき、ハードウェアを売り切るビジネスモデルからサブスクリプションに変わった。すなわち、製品やサービスなどの一定期間の利用に対して代金を支払うビジネスモデルだ。ただ、サブスクリプションといえども、特定のソフトウェアやサービスの販売形態の1つにすぎない。

 

ソフトウェアからデータにビジネスモデルの源泉が移行すると、ソフトウェア単体でビジネスをする必要がなくなる。サブスクリプションもあって構わないが、選択肢の1つにすぎなくなる。ソフトウェアで儲けても構わないし、別のサービスで儲けても構わないという多様な選択肢が一般化する。

いま、そのイメージ通りのビジネスモデルを展開しているのがアマゾンだ。

アマゾンはeコマースを筆頭に、アマゾンプライム会員向けに音楽や動画を提供するサービスも行っている。一定の基準を満たすユーザーには貸金業も営んでいる。

アマゾンは顧客を囲い込むことで、複数ある顧客とのタッチポイントのどこかの領域でお金を稼げればいいと考えているはずだ。そのスタンスに立てば、ある部分は安い価格で提供し、別の部分でしっかり稼ぐための戦略が機動的に決められる。

いずれかのタッチポイントで稼げればいい、とアマゾンは考えている(Photo by iStock)

業界の垣根は低くなっていく

こうして、アマゾンやグーグルのような企業が次々に勃興することになり、業界の垣根が低くなっていった。そのような傾向のなか「うちは電子機器製造業だから」「うちは小売業だから」と特定の業種にとどまっていては生き残れない

たとえば、売り上げが減少し赤字に苦しんでいる書店が、書籍や雑誌の販売だけでなく顧客の購買動向のデータを取れば、そのデータを生かしたビジネスが生み出せる。

本の購買データから顧客の関心を読み取り、動画など別の形のコンテンツを推薦するのだ。このクロスセルによってトータルで利益が出れば、もはや「特定の業種」という概念が意味を持たなくなる。

いま、最先端のテクノロジーを生み出している業界をIT業界と呼ぶが、すべての業種がITを駆使してビジネスをしなければならない未来においては、IT業界という業種はなくなり、すべての業種がコングロマリット(複合企業)にならざるを得ない。

「投資業」というソフトバンクの世界戦略

本気で世界で戦おうとするならば、グーグルやソフトバンクが志向する投資業は1つの選択肢かもしれない。ソフトバンクは、もはや本業が何かわからなくなっているが、それはそれで一つの割り切り方だ。