トヨタが2021年から着工予定の実験都市「Woven City」

ソニーがクルマを作り、トヨタが街を造るたった1つの理由

「知性を拡張する」新しい物作りとは?

新しい潮流

2020年の年明けも、筆者は米・ラスベガスで開催されるテクノロジーイベント「CES 2020」を取材していた。年初をラスベガスで過ごすようになってから、気がつけば15年以上が経過している。

CESが開催されるラスベガス・コンベンションセンター。今年も1月7日から10日まで開催され、17万人が訪れた

この間に、テクノロジー業界は大きな変貌を遂げた。

 

シンプルに家電を売るかたちから、ネットワークやAIが関わるものへと変化したからだ。そして、「CESの軸がネットワークやAIである」といわれるようになってからも、すでに5年近くが経過している。

言葉としては定着してきた感がある一方で、「CESの軸がネットワークやAIである」とはどういうことなのか、「まだピンと来ない」あるいは「身近な感じがしない」という人も多いだろう。

しかし今年は、そうした状況に一石を投じる動きが多かった、と感じている。とはいえ、特別な製品が発表されたわけではない。

いったい、なにが起きたのか? 

──今回は、日本を代表する2つの企業、トヨタとソニーの例を中心に、「新たな動き」について解説してみよう。

トヨタが「街」を造る!

ところで、報道ではよく、CESのことを「家電展示会」や「家電見本市」と呼称している。これらの言葉からは、大量の家電機器がずらりと展示されていて、その年に登場する新商品をまとめて見ることができる場……というイメージがあるだろう。

だが、CESはもはや、そういう場ではない。もちろん、新製品を展示している企業もあるが、どちらかといえば「自社のビジョンを打ち出す場」になっているといっていいだろう。

そのようなCESの変化を、わかりやすく体現していたのが、トヨタの発表だ。

Photo by iStock

CESといえば家電、というイメージが強いかもしれないが、近年は自動車の出展が増えている。自動運転や安全装備など、ITの関わる領域が増えており、自動車業界全体が大きく移り変わっているためだ。トヨタも過去に、コンセプトカーの展示などを中心としていた。

しかし、今年のトヨタは違った。──クルマではなく、「街」を発表したのだ。