1月27日 青函トンネル、先進導坑貫通(1983年)

科学 今日はこんな日

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"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

着工から19年、1983年のこの日、青函トンネル(青函隧道)の本坑に先行して掘り進められた「先進導坑」で本州と北海道が結ばれました。

トンネルの概要

青函トンネルは、津軽半島の今別町から松前半島の知内町まで全長53.85kmの海底鉄道トンネルで、交通機関用の海底トンネル(海底区間で、23.3km)としては世界第2位の長さを誇ります(世界1位は英仏海峡トンネルの37.9km)。

青函トンネルは、列車が通る本坑の他に、先進導坑、作業坑が本坑と並行して通っており、各坑を連絡通路で結ばれています。工事時には、地底の工事現場に向けて掘られた斜坑も使われました。

【図】青函トンネルの主要な構成
青函トンネルの主要な構成 referenced by Hokkaido Railway Company

このうち、先進導坑とは、列車が通る本坑に先駆けて地質の確認などのために掘られたトンネルで、現在は青函トンネル内の排水や換気に使われています。

海底部分の長さは23.3キロメートルで海面下140メートル(最深部)に位置しています。

青函トンネルの概要

  • 始点:青森県東津軽郡今別町浜名
  • 終点:北海道上磯郡知内町湯の里
  • トンネル延長:53.85km(海底部23.30km/陸上部30.55km)
  • トンネル設計基準/最小曲線半径: 6500m
  • 最急勾配:12‰
  • 海底下の土かぶり(覆っている土の厚さ) : 100m〜
  • 最大水深:140m
  • トンネル断面:複線新幹線型
  • 軌道構造:三線式スラブ軌道

計画と工事

青函トンネルの構想は戦前からありましたが、本格的に始動したのは、1946年2月に運輸省鉄道総局で「津軽海峡連絡隧道調査法打ち合わせ会議」が開かれてからでした。

同年中に現地の地質調査がはじまり、1961年には深海調査艇によって海底の調査が行われました。1964年に北海道側の松前郡福島町吉岡で起工式が行われて、調査坑の掘削がはじまり、1971年11月14日に本工事(本坑)が着工されました。

先進導坑の掘削はそれに先立つもので、北海道側が1967年に、本州側が1970年にはじまりました。

工事の進捗と現在

工事開始後は、予想を超える軟弱な地盤に悩まされ、工法の変更など、数々の苦労に見舞われました。当初、先進導坑はトンネルボーリングマシン(tunnel boring machine : TBM)の使用が予定されていましたが、出水などで使用できなくなりました。

青函トンネルでは、工事や地盤の条件によって、3つの工法で穿たれています。

【写真】工事中の青函トンネル
難工事のようす photo by Kodansha Photo Archives

先進導坑が貫通した後も、作業抗、本坑と掘削が進められ、JR津軽海峡線として開通したのは、この日から5年後の1988年3月13日でした。

開業30周年を2年後に控えた2016年には軌道の3線軌条(3本のレールで、標準軌間と狭軌軌間を共用)化工事により、北海道新幹線の乗り入れが開始されました。

【写真】青森側出口で
2016年には新幹線が乗り入れた。青森側の隧道始点で photo by public domain

新たな問題も

国鉄の分割民営化に際して、青函トンネルの区間はJR北海道の管理下になりました。海底下という特殊な環境で長大区間にわたるトンネル区間の安全確保など、高い維持管理費が必要とされる一方、旅客輸送量の伸び悩みなどの問題が生じています。

また、先進導坑内のトンネル断面の歪みや、路盤が盛り上がる盤ぶくれと呼ばれる現象が現れ、また内壁のコンクリート剥落などが起きていることもわかりました。通常、トンネル周辺の地盤が強固であればトンネルに大きな力は作用しませんが、弱い地盤だと大きな力が作用し、盤ぶくれや内空断面の縮小などが生じやすくなるのです。

JR北海道では、トンネル内から壁外の土塊にボルトを打つ、ロックボルト工法により補強するとのことです。青函トンネルは完成後も、地盤による悩みにつきまとわれているようです。