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なぜ国際世論はゴーン氏を支持し、ジャパン・バッシングに傾いたのか

「人質司法」と批判されて

日本の司法制度そのものへの批判

日産元会長・最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン被告の逃亡と、レバノンの首都ベイルートで1月8日に行われた記者会見は欧米メディアが大々的に報じ、今やその逃亡劇がハリウッドで映画化されるというのだ。

「人質司法」(hostage justice)という言葉に象徴されるように、欧米では日本の司法制度そのものに対する批判が強い。その中にはもちろん、事実誤認や誤解・偏見が散見できる。だが、日本の法務・検察当局によるゴーン逮捕後の取り調べ、勾留環境・期間についての批判、特に取り調べに弁護士の同席を認めていないのは主要国の中で日本だけとの指摘はジャパン・バッシングの様相を帯びている国際世論に大きく影響している。

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とりわけ厳しい論調で日本の司法制度批判の先頭に立っているのが米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)である。同紙社説の概要を時系列で紹介する。

(1)2018年11月27日付:共産党が支配する中国の話であろうか。いや、資本主義の日本で起きたことだ。日本の検察当局は、不正会計問題に揺れた東芝やオリンパスの容疑者に対してこのような扱いをしなかったはずだ。日産とルノーの経営統合を阻止する動きの一環ではないかと思ってもおかしくない。

(2)19年1月9日付:日本の検察のやり方は、有罪を認めるまで容疑者を拘束し、弁護士の立ち会いなしに尋問する。裁判は基本的に形式的なもので、あらかじめ有罪は決まっている。

(3)同3月6日付:自分たちの司法制度がまるで「第三世界」のように映っていることをようやく理解し始めたのではないか。本件は企業のCEOの行動を巡る見解の違いのようであり、法廷ではなく役員会議室で処理できたのではないかと思われる。

(4)20年1月3日付:逃亡したゴーン氏を責めるのは難しい。ゴーン氏が法廷で身の潔白を証明できればよかったが、公正な裁判を受けられたかどうかは定かではない。日本の不透明な企業統治と法に基づくデュープロセス(適正な手続き)の欠如を白日の下に晒した。日本が現代的な自由市場経済によりふさわしくなるよう司法制度と企業統治を改革することが正義を果たす最善の方法である。

手厳しい日本の司法制度批判である。筆者は上述の社説に異論があるが、特に米メディアが最も力点を置いて報じている「日本の裁判では有罪率99%を超えており、とても公平とは言えない」との指摘を問題視している。

 
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