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台湾の選挙に日本人が「感動」する理由

彼らは選挙が社会を変えると信じている

注目すべき「74.9%」という投票率

1月11日に行われた台湾の総統選で、過去最高の817万票を獲得した勝利した民進党・蔡英文総統。その得票数に注目が集まったが、むしろ注目すべきは74.9%という投票率であった。

蔡英文総統の得票率自体は57.1%であり、2012年の初当選の得票率56.1%を1%のみ上回った。二期目でも得票率を伸ばしたことは評価できるが、異常なほどの高い投票率がなければ、817万票は実現しなかった。

この台湾の投票率をめぐる状況は、投票率の低さに悩む日本人に、ある種の羨望と感動を与えてくれる。そして、こう思うのだ。人口でいえば日本より6分の1ほどの小さな台湾で育っている民主主義は、なぜ、かくも健全なのか、と。

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今回の選挙では、昨年秋ごろから蔡英文氏の大幅リードが世論調査ではっきりしており、私も事前の得票率を「蔡英文55〜60%、韓國瑜35〜40%」と予想していた。直前になって「接戦になっている」という情報も流れたが、私はそれらを否定した。

台湾の選挙は常に、投票直前に負けている方は「追い上げている」と主張し、勝っている方は「追い上げられている」と主張する。その方が、いずれにも都合がいいからだ。

表面的には情報の整合性がつくので「想像以上に接戦では」と信じてしまう人が現れる。だが、過去の例からみれば、台湾の選挙は1ヵ月前に結果がついているケースが多く、直前の選挙運動で大きく動くことはまずない。

だが、外してしまったものがある。それが投票率である。

4年に1度の台湾総統選では、2000年の82.7%を最高に、投票率は回を重ねるごとに低くなっており、2016年は66.3%にまで下がった。今回の投票率も60〜70%ぐらいだと私は予想しており、台湾側の専門家の見方とも一致していた。

ところが、結果は74.9%で過去2回の総統選を上回ったのである。ただ、予兆はあった。