〔PHOTO〕iStock

激増する前立腺がん「検査不要論」を信じると、大変なことになる

専門家がお教えします

欧米で盛んな「検査不要説」

いま医師たちが、前立腺がんの検査について警鐘を鳴らし始めていることをご存じだろうか――。

前立腺がんの罹患者数は近年、急激に増加している。1982年には4362人だったのが、1992年には9855人、2002年には2万9345人、2012年には7万3145人にもなっているのだ(「がん・統計白書2012年」)。多くの男性にとってもはや他人事とは言えない。

そうなると多くの人にとって気になるのが、前立腺がんの「検査」(=PSA検査)だろう。

いま巷で勢いがあるのは「PSA検査は不要」という議論だ。海外を中心に唱えられており、耳にしたことがある人もいるかもしれない。実際、日本の一部の自治体もこうした議論を受けて、前立腺がんのPSA検査に補助金を出すのをやめることを検討し始めたという。いわば公式に「PSA検査は不要」という見解が示されつつあるわけだ。

〔PHOTO〕iStock

しかし、果たして本当に欧米での議論を安易に日本に当てはめてしまっていいのだろうか。実はそこには大きな落とし穴がある可能性が高い。

さらに、日本ではPSA検査の「後」に行われるがん確定検査の方法や、手術をおこなうべきか否かの判断基準にも問題が少なくない。不要な手術を受けさせられてしまい、その後の生活の質が大きく悪化してしまうケースも見られるという。東京慈恵会医科大学の三木健太医師に、前立腺がんの適切な治療法とともに、検査の「落とし穴」について聞いた(以下、太字が編集部、それ以外が三木医師の発言)。

 

欧米とは議論の前提が違う

――PSA検査といえば、健康診断や人間ドックで、オプションの検査項目として挙げられている一方で、欧米では「過剰なPSA検査を避けるべき」という主張も出てきていると聞きます。実際にはどうなのでしょうか。

たしかにアメリカをはじめとした欧米では、PSA検査を「過剰で、無駄な検査」とする指摘もあります。現在、日本の一部の自治体も海外の「PSA検査不要論」を根拠に、PSA検査に補助金を出すのをやめようと検討しています。

ですが、こうした欧米での議論を一概に日本に当てはめてよいわけではありません。