ジャーナリストの島沢優子さんは、教育の現場を長く取材してきた。スポーツ指導の場もしかりである。そうして自分たちが「された教育」だけではなく、正しい知識をもつことが重要だと心底感じるようになる。そんな「子どもが本当に伸びる子育て」を考える連載が「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」だ。

現在ラグビーのトップリーグが始まった。ラグビーワールドカップで活躍した日本代表選手、福岡堅樹選手が7人制ラグビーへのチャレンジ後に医師を目指すと報じられた。そのようにアスリートとして力を入れながら、別の学部から医学の道を志すアスリートも増えているという。そのような「ハードな編入」を支えるものは何だろうか。

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医師を目指すアスリートたち

医師を目指すアスリートが最近目立つ。
26年ぶりに箱根駅伝に出場した筑波大では、医学群5年の川瀬宙夢(ひろむ)選手が9区を走った。外科手術実習、遺体解剖などの過密スケジュールをこなしながらタスキを手中に。「箱根を走った医者」を目指すという。

ラグビー部3年のフランカー中田都来選手も医学生。灘高時代から兵庫県選抜に選ばれていた中田は、昨季慶應大の主将を務めた古田京さんが医学部に在籍しながら活躍する姿を見て両立を目指したと聞く。

医学部の編入試験を受けるトップアスリートもいる。W杯で大活躍した日本代表の福岡堅樹選手は、東京2020で7人制ラグビーへのチャレンジ後に引退し医師を目指すと発表。同じく東京五輪出場を狙う女子柔道の朝比奈沙羅選手は昨秋、最初のチャレンジから3年目にして獨協医科大学医学部AO入試に合格した。現役トップアスリートの医学部入学は、日本では稀だ。

ラグビーW杯スコットランド戦で3点目を入れる福岡選手。他の選手と共に大車輪の活躍だった Photo by Getty Images

医学部予備校ナビ』によると、編入試験は正しくは「学士編入制度」と呼ばれ、4年制大学を卒業した学士もしくは卒業見込みの学生などが、専攻した学部学科と異なる学部学科に3年次(一部2年次)に編入できるもの。モチベーションが高く多様な人材を集めるという観点から、多くの医学部でも受け入れている。

募集人員は5~10人がほとんどで志願者のレベルは高く、競争率は十数倍から50倍の大学もあるほど難関だ。本人はもちろんのこと、支える親側にも相当な覚悟が必要だろう。

そこで、編入試験がスタートしたころにこの制度を使い医師になった女性(40代)に話を聞いてみた。静岡県で救命医として忙しい毎日を送っている。