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高齢者5人に1人が発症も…「認知症薬」に決定打が出ない理由

エビデンスと仮説が揺らいでいる

「認知症新薬」承認申請が株価を動かす

日本は超高齢社会となっており、そこでは認知症は65歳以上の5人に1人と身近な存在だ。

私も脳の疾患を専門にする脳神経内科医として、認知症の患者さんと向き合うことも多い。

外来では、軽い認知症や軽度認知障害(MCI)ならご本人、あるいは付き添っているご家族の方から、「認知症の新薬のニュースを見ましたが、使えないのですか?」と尋ねられることがある。

 

その一つに「アデュカヌマブ」がある。

これは、昨年(2019年)、エーザイがバイオジェン社とともに臨床試験していた早期の認知症(アルツハイマー病)の症状悪化を抑制する薬剤だ。

10月22日に、米国で新薬申請する予定と発表して大きなニュースとなった。

それ以降も、国際学会などでは新薬アデュカヌマブ関連の発表が相次いで行われ、たびたびマスメディアに登場した。

アルツハイマー病の原因とされるアミロイドベータ(Aβ)という物質を脳から取り除くことで認知症を改善させる根本治療薬との触れ込みだ。

この発表(10月22日)を受け5000円台だったエーザイの株価は数日で8000円台に跳ね上がっている。

エーザイの株価推移(グーグル検索より)

ただ、株価チャートをよくみると3月には9000円台から6000円台に急落しているのが、元に戻ったとわかる。

この急落は、同じアデュカヌマブについて臨床試験で有効性が認められないため研究開発を中止するとの発表(3月21日)の結果だ。

一つの薬剤が市場に出るかどうか──それどころか、それ以前の段階で新薬として申請する予定があるかどうかの発表だけ──で投資家が一喜一憂するわけだ。

認知症の新薬は待ち望まれている。