蔡英文総統「圧勝」の現場で目の当たりにした「台湾人の中国離れ」

この流れはもう止められない
近藤 大介 プロフィール

「北京は、台湾の民意を尊重すべきだ」

質疑応答は、私も含めて大勢の記者が挙手したが、内外の6人の記者が指された。その要旨は、以下の通りだ。

BBC記者: 今回の選挙結果に、香港のデモは影響したと思うか?

蔡総統: それは当然、あったと思う。われわれは香港のような「一国二制度」は受け入れない。台湾総統は、台湾人の民意に従って行動していく。そして、台湾人民の期待に応えていく。台湾の主権を守っていくということだ。

これからは両岸が、関係改善にむけて、共に努力していくべきだ。良心に基づいて、対話を始めるべきだ。

台湾東森新聞記者: ニューヨークタイムズが書いていたが、今回の選挙は、「親米の民進党」対「親中の国民党」という構図だったのか?

蔡総統: 私が考えているのは、「自由・民主の国家」を目指す者と「自由・民主のない国家」を目指す者が闘った選挙だったということだ。

いずれにしても、先ほど述べた4つのこと(平和・対等・民主・対話)が大事だ。これから両岸で「良心の対話」を目指していきたい。

ニューヨークタイムズ記者: 中国の強い圧力の中で、今後、国際社会とどう付き合っていくつもりなのか?

蔡総統: たしかに中国の圧力はとても大きいが、この3年余り、われわれは国際社会のパートナーと協力してうまくやってきた。

また、台湾は世界に貢献している。地球温暖化への取り組みでも深く協力している。

われわれは今日ここに、自由で人権を重視する国家であることを、世界に示した。今後は、アメリカを始め国際社会の国々、それにEUなどとも、協力関係を拡大していきたい。

台湾は、この上なく安全な国だ。インド太平洋の国々とも協力していきたい。

政治問題だけでなく、文化面でも科学技術面でも、どんな分野でも協力できる。台湾は自由で開放された国家なのだ。

台湾記者: これほど圧倒的な勝利を収めることができた勝因は何だったのか?

蔡総統: それは、この4年近くやってきたことが評価されたことと、次の4年への期待からだと思う。あと4年で、改革を成し遂げる。第一に、金融サービスセンターの完備、第二に、子供を始めとするケア・プロジェクト。第三に、国家経済の発展。第四に、台湾のパワーを国際的に示し、地域の国際的な活動に参加していくことだ。

NHK記者: 中国の圧力をどう考えているか?

 

蔡総統: 中国からの圧力は、ますます大きくなってきている。中国は「一国二制度」ではなく、台湾人の民意に耳を傾けないといけない。国際的責任を考えながら、「文攻武嚇」(言葉で攻めて武力で威嚇する)を止めて、平和で安定した台湾海峡にしていくべきだ。

台湾の主権、自由、民主。これらは今後4年、変えない。そのことを基本にして、双方が責任を持って対話を始めるべきだ。双方が良心に則って、健全な両岸関係を築いていくべきだ。

北京は、台湾の民意を尊重すべきだ。そうしたら対話はできるだろう。

台湾記者: 「双贏」(ダブルウイン)となったが、今後の内閣はどうするのか?

蔡総統: この一年間、蘇貞昌(そ・ていしょう)行政院長には、深く感謝する。国内の政策も多く実現できたし、国際社会への貢献も増えた。米中貿易摩擦の影響など、難問山積の中、引き続き安定した内閣を築いていきたい。