蔡英文総統「圧勝」の現場で目の当たりにした「台湾人の中国離れ」

この流れはもう止められない
近藤 大介 プロフィール

「これが両岸関係の答案だ」

さて、蔡英文総統は、1年2ヵ月前の「党主席辞任会見」の時とは打って変わって、太い声で切り出した。

「今日、投票に行ってくれた人に感謝する。誰に投票したとしても、民主と自由の国家・台湾を世界に示したのだから。韓国瑜候補にも宋楚瑜候補にも感謝する。

今日、台湾人は、投票という行動によって、私がこの4年間やってきた方向は正しいのだということを示してくれた。そして今後4年間、自信を持って、台湾を正しい方向に導いていくと保証する。

台湾人民は、さらに良くなり、さらに多くのことを成し遂げていくことだろう。就業を増やし、経済や教育を良くしていく。改革を続けて、台湾を発展させていく。国家も安全にしていく。

私は台湾人民を代表して、台湾の民主の証人になってくれた皆さんに感謝する。私たちは国際社会に向けて、民主の価値を示したのだ。

中華民国台湾は、国際社会の仲間入りをして、国際社会とともに発展していきたいのだ。われわれは、独立した国際社会のメンバーなのだ。われわれを国際社会のパートナーにしてほしい。台湾は主権と民主を持っているのだ。

この3年間というもの、(中国との)ボトムラインを守ってきた。中国のプレッシャーに負けないできた。『一国二制度』の政治的圧力、台湾海峡の軍事的圧力……。これからも民主の力によって、保衛していく。平和的な政策は変えないが、それには両岸双方が責任を持たねばならない。

平和・対等・民主・対話の4つが、唯一の道だ。平和とは、北京が台湾への武力行使を放棄すること。対等とは、双方が互いの存在を認め合うこと。民主とは、台湾の前途は2300万台湾人民が決定すること。対話は、双方が膝を交えて、未来の関係発展について話し合うことだ。

北京当局は、民主の台湾は動かないことを知るべきだ。今日の選挙の結果を認めるべきだ。それが両岸関係の答案だ。

選挙は終わった。これからは、すべての人が平常に戻ろう。団結して、民主を進めていこう。明日からすぐに努力して仕事にとりかかる」

 

テントの中は、外の支持者たちの喧騒がウソのように、静まり返っていた。われわれ記者団は、蔡総統のひと言ひと言を聞き漏らすまいとして、耳を傾けていた。蔡総統が言葉を区切るたびに、傍の男性が英語に通訳した。

それにしても、「勝者の言葉」というのは、重みがあるものだ。まるで蔡総統の言葉の背後で、「817万人のこだま」が聞こえてくるようだった。