2020年、この「不安定な株式相場」を見抜くヒント

天気も相場も「カオスの論理」で動く?
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

何故、株と天気の予報はあたらないのか

しかし、技術が発展したからと言って株の予測が当たるようになる、と思うのは早計ではないだろうか。

 

例えば、天気予報。衛星や航空機、船舶から大量の気象データを取り込み最新のスーパーコンピュータを駆使して高度な数量計算を行なっても、天気予報が当たるのは、せいぜい1週間先まで。

その後は当たるも八卦当たらぬも八卦、下駄を投げるのと変わらなくなる。こんなに技術が進歩したのに、何故当たらないのだろう。

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天気予報が外れる理由を説明した理論に、エドワード・ロレンツの「カオスの論理」がある。

「南米で蝶が羽ばたくと2週間後のセントラルパークの天気が変わる」というイカした比喩から「バタフライ効果」とも呼ばれるが、初期データ入力のわずかな誤差が時間と共に拡大してしまい、予想を困難にする現象だ。

ロレンツは初期入力で捉えようとする大気は非線型に動いているので、その運動を説明する物理法則がいくら正しくとも、1ヶ月を超えるような予測は不可能だと結論づけた。

健全に見える市場が突然クラッシュするような現象を説明するのに「カオスの論理」は有効かもしれない。

最近AIによる株価予想の精度がメキメキ上がってきたと言われるが、市場を構成する一つ一つの要素は大気のように非線型のカオスだ。

1年先というような期間では、モデルで捉えきれない誤差が大きな読み間違いにつながることは容易に想像できる。

特にリーマンショックのような「アウトライヤー」と呼ばれる標準分布の外(上の図で3σの外側)で起きる現象、つまり滅多には起きないが起きたら壊滅的なダメージをもたらすような出来事を、そのタイミングを含めて的確に予見することは、いくらAIに過去のケースを学習させても極めて難しいと思われる。