2020年、この「不安定な株式相場」を見抜くヒント

天気も相場も「カオスの論理」で動く?
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

過去から未来を読む

三つ目は、本来見えない未来の「近似値」を過去のデータを分析して想定する方法

「チャート」によって過去の株価の波動から未来を占うテクニカル分析もその一つだが、このアプローチは確率論と金融工学の進化によって飛躍的に向上した。

 

一つの強力なツールは「ベル・カーブ」と呼ばれる、鐘の形をした正規分布曲線だ。

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くじ引きで一等が当たる確率にせよ、ある人が100歳まで生きる確率にせよ、世の中の個別の事象の予測は困難だが、その現象についての膨大なデータを積み上げていけば、サンプルが大きくなるに従ってそれは正規分布に近づいていく。

これに従えば、「17歳の男の子の身長が180センチを超える確率は5%」だとか、「沖縄県で6月22日の前後1週間に梅雨明けする確率は68%」だとか、「絶対」ではなくとも未来の「近似値」を推し量ることが出来る。

金融の世界では、この正規分布を前提としてオプション価格を計算するブラック・ショールズ・モデルが生まれ、デリバティブ(金融派生商品)が花開いた。

またロケット工学を専攻した数学者や物理学者がウォール街に流れて、確率・統計学やコンピューターを駆使したデータ解析を行うクオンツファンドの台頭につながった。

今ではクオンツファンド同士の競争も混み合ってきたので、AIを駆使して一歩リードしようとするファンドも現れている。