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日本人だけが知らない「ゴーン逃亡」本当の罪…欧米はどう報じたか

人質司法の問題が放置されている
町田 徹 プロフィール

すでにフランスの会社と見なされていた日産の問題で、下手な介入をすると日仏外交関係の懸案になりかねないとはいえ、傍観すれば日産の研究開発部門や工場閉鎖を招いて国内の雇用問題に発展するリスクがあると、日本政府の支援を求めていたとされている。ゴーン前会長が主張するような日本政府と日産の共謀はなくても、彼の眼には日産の働きかけが共謀と映っても不思議がない。

この案件に比べると、失敗した個人投資を日産に付け替えたのではないかとか、CEOリザーブという秘密資金が存在したとか、取引先からキックバックがあったとかされる問題についてのゴーン前会長の反論は迫力に乏しかった。

というのは、これらの問題については、複数の代表取締役の承認のサインがあり、適正な社内手続きを経ていたと主張したうえで、何やら、その承認書類らしいものを提示したのだが、文字があまりにも小さくて内容が読み取れなかったからだ。こんな提示の仕方では、とても無罪が裏付けられたとは言えない。

 

ゴーン前会長は、会見で「数週間以内に全ての証拠を開示し、嫌疑を晴らしたい。真実を明らかにしたい」と強調していたが、この種の証拠を何度も小出しにする意味があるとは考えにくい。無実を証明したいのならば、もっときちんとした形で開示すべきだった。

しかも、無実の主張は、日本の裁判で証明すべき問題で、犬の遠吠え感を免れない。このままでは、日本での裁判も尻切れトンボになり、真相が闇の中に消えてしまいかねない。

メディアのゴーン批判に対する“違和感”

実際、ゴーン前会長の国外逃亡で、冒頭で紹介した法務・検察当局をはじめ、日産自動車関係者はもちろん、新聞・テレビまでゴーン批判の大合唱になってしまった。この状況は、年来の課題である司法制度の問題点を質す好機が失われかねず、憂慮すべき事態である。